MLB故障者リスト(IL)2026年最新ルールを徹底解説!復帰条件と登録枠の全貌

目次

MLBの試合結果や選手情報を追っていると、「故障者リスト入り」「10日間IL」「60日間IL」といった言葉を目にする。故障者リストは英語でInjured List(IL)と呼ばれ、けがや脳震盪などで試合に出られない選手を一時的に登録し、球団が代わりの選手を起用できるようにする制度だ。

2026年10月29日時点のMLBでは、7日間・10日間・15日間・60日間という4種類のILが運用されている。それぞれ対象となる選手や最低登録期間が異なり、26人枠と40人枠への影響も同じではない。さらに、最低日数を消化したからといって自動的に復帰できるわけでもない。MLB公式用語集とMLB・選手会の2022~2026年基本協約をもとに、登録条件から復帰手続き、選手の給与まで整理する。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • ILの基本:MLBには7日間・10日間・15日間・60日間の4種類があり、対象選手と最低登録期間が異なる。
  • 登録枠への影響:7日・10日・15日間ILは40人枠に残るが、60日間ILは40人枠から一時的に外れる。
  • 復帰の条件:最低登録期間の経過に加え、医学的な回復確認と球団による復帰手続きが必要となる。
  • NPBとの違い:日本にはMLBと同じ4区分の公式IL制度はなく、出場選手登録の抹消と再登録制限を中心に運用している。
  • 選手の待遇:MLB契約下の選手はIL入りによって自動的に解雇・減俸されるわけではなく、メジャーのサービス・タイムも原則として加算される。

【2026年最新】MLBの故障者リスト(IL)とは?DLとの違いも解説

故障者リスト

MLBの故障者リストは、負傷などによって試合出場が困難になった選手を、一定期間アクティブ・ロースターから外すための制度だ。英語表記はInjured Listで、略称はIL。球団は選手をILに登録することで、当該選手を試合に出場させずに登録枠を確保し、別の選手を昇格させられる。

ILは選手の治療と球団の戦力維持を両立させる仕組み

故障者リスト

MLBのシーズンは試合数が多く、選手には打撃、守備、走塁、投球などで継続的な身体的負担がかかる。軽い肉離れから靱帯損傷、脳震盪まで、故障の程度はさまざまだ。

仮に主力選手がけがをしても、球団は試合を続けなければならない。そこでILを利用し、離脱する選手の登録枠を空けて、マイナーリーグから代替選手を昇格させる。

つまり、ILには大きく2つの役割がある。

  • 選手に一定期間の治療・リハビリ期間を確保する。
  • 球団が負傷者の代わりとなる選手を登録し、チーム編成を維持できるようにする。

重要なのは、IL入りが選手の契約解除や戦力外通告を意味するわけではない点だ。選手は球団との契約関係を維持しながら、復帰に向けた調整を進める。

故障者リストとDLは何が違う?

故障者リスト

野球ファンの間では、現在も「DL入り」という表現が使われることがある。DLはDisabled Listの略で、現在のILと基本的には同じ制度を指している。

MLBは2018年シーズン終了後、従来のDisabled Listという名称をInjured Listへ変更した。名称変更は2019年シーズンから適用されている。

これは、障害を持つ人々に対する表現上の配慮を背景とした変更だ。DLが別の制度に置き換わったわけではなく、故障者の登録と復帰を管理する仕組みそのものは引き継がれている。

したがって、2026年現在のMLB情報を読む場合は、ILを正式な呼称として理解しておけば問題ない。

【検証資料 1】故障者リストの当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)

【7日・10日・15日・60日間】ILの種類と登録期間の違い

MLBのILを理解するうえで最も重要なのが、4種類の登録区分だ。数字は選手が最低限プレーできない期間を表しており、復帰までに必ずその日数だけかかるという予測ではない。

MLB公式用語集が定める2026年シーズンの基本的な区分は次のとおりだ。

ILの種類 対象選手 最低登録期間 26人枠 40人枠
7日間IL 脳震盪の選手 7日間 対象外 残る
10日間IL 野手(ポジションプレーヤー) 10日間 対象外 残る
15日間IL 投手・二刀流選手 15日間 対象外 残る
60日間IL 全選手 60日間 対象外 一時的に外れる

7日間IL:脳震盪に対応する特別な制度

7日間ILは、脳震盪の症状がある選手を対象とした制度だ。

野球では、頭部への死球や外野フェンスへの衝突、選手同士の接触などによって脳震盪が発生する可能性がある。頭部の負傷は外見だけで重症度を判断できず、短期間で症状が改善したように見えても、競技復帰には慎重な評価が必要となる。

7日間ILは、こうした脳震盪の特性に対応するために設けられた。2011年に導入され、選手を無理に復帰させないことと、医学的に問題がない場合には比較的短期間で復帰できることの両立を目的としている。

ただし、脳震盪と診断された選手が必ず7日間ILを利用しなければならないわけではない。症状や復帰見込みによっては、10日・15日・60日間ILを選択する場合もある。脳震盪については通常の診断書とは別の専用書類や復帰承認手続きが設けられている。

10日間IL:野手に適用される基本区分

10日間ILは、内野手、外野手、捕手などのポジションプレーヤーを対象とする。故障の種類は限定されず、筋肉系の負傷や骨折など、さまざまなけがに対応できる。

最低登録期間は10日間。選手は26人のアクティブ・ロースターから外れる一方、40人枠には残る。

2017年には、従来の15日間ILに代わって10日間ILが一般的な短期故障の選択肢となった。球団が選手の状態に応じて柔軟に対応できるようになった一方、先発投手の短期間での入れ替えが容易になるという問題も指摘された。

15日間IL:投手と二刀流選手が対象

15日間ILは投手と二刀流選手に適用される。

投手は野手と異なり、登板間隔や投球負荷の管理が必要だ。特に先発投手の場合、短期間で復帰させると、十分な休養や投球調整を確保できない可能性がある。

そのため、MLBは2022年シーズンから投手・二刀流選手について15日間ILを復活させた。野手の10日間ILとは別の最低期間を設定することで、投手の故障管理とロースター運用を調整している。

ここで注意したいのは、投手として登録されているかどうかが区分の判断に関係する点だ。負傷した場所が腕や脚だから15日間になるという仕組みではない。二刀流選手も15日間ILの対象となる。

60日間IL:長期離脱と40人枠の調整に使われる

60日間ILは、4種類の中で最も長い最低登録期間を持つ。投手・野手を問わず、すべての選手が対象となる。

大きな特徴は、選手が40人枠から一時的に外れることだ。10日・15日間ILなどでは空かない40人枠のスペースを確保できるため、長期離脱が見込まれる選手について球団が利用を検討する。

ただし、60日間ILは単純に「重傷者専用」という意味ではない。球団の40人枠の状況や、代替選手を登録する必要性も判断材料となる。

MLB公式用語集によると、40人枠に余裕があり、選手を復帰させる際に別の選手を外す必要が生じる場合、60日間ILへ移さず、10日間ILなどに長く在籍させる運用も可能だ。

また、60日間ILに登録された選手は、最低60日間が経過するまで復帰できない。球団にとって40人枠を確保できる利点がある一方、選手を早期復帰させられないという制約も伴う。

【登録条件と手続き】MLBで故障者リスト入りするまでの流れ

選手がけがをしたからといって、直ちにILへ登録されるわけではない。MLBでは、球団の医療スタッフによる診断と、コミッショナー側への申請手続きを通じて登録が進められる。

IL登録には医学的な診断が必要

MLBと選手会の2022~2026年基本協約では、球団が選手をILへ登録する際、標準診断書を提出することが定められている。

書類は球団の認定アスレチックトレーナーが作成し、球団医師がIL登録の必要性を確認したことや、回復に必要と見込まれる期間などを記載する。

そのほか、コミッショナー事務局が追加情報を求める場合もある。脳震盪の場合には専用の診断書を用いるなど、通常の負傷とは異なる管理が行われる。

この仕組みは、単に球団が選手を自由に試合から外すためのものではなく、医学的な根拠に基づいて選手の状態を管理するための制度でもある。

登録日は最大3日前まで遡及できる場合がある

ILの運用で知っておきたいのが、遡及登録という仕組みだ。

例えば、野手が6月1日の試合を最後に出場せず、6月7日に10日間ILへの登録が発表されたとする。この場合、条件を満たせば、登録日を6月4日まで遡らせることができる。

つまり、発表された日から10日間を数えるのではなく、正式に認められた遡及日から最低期間を計算する。

MLB公式用語集では、10日間ILと15日間ILについて最大3日間の遡及が認められると説明している。これにより、負傷直後に登録手続きが完了しなかった場合でも、選手の離脱期間に合わせた処理が可能になる。

ただし、遡及登録が認められることと、復帰が確定することは別の話だ。医療面の判断や球団の復帰手続きは引き続き必要となる。

故障の程度だけでILの種類が決まるわけではない

ILの区分を判断する際には、負傷の程度だけでなく、選手の登録上の役割と球団の編成事情も関係する。

例えば、野手が比較的長い離脱を余儀なくされた場合でも、必ず60日間ILに登録されるとは限らない。10日間ILに登録したまま、復帰まで数週間、あるいはそれ以上待つこともできる。

反対に、60日間ILを利用することで40人枠に空きを作り、新たな選手をメジャー契約で登録するという編成上の判断もあり得る。

したがって、ニュースで「60日間IL入り」と報じられた場合は、選手の負傷情報だけでなく、球団のロースター事情にも目を向けたい。

【検証資料 2】故障者リストの活動歴およびメディア掲載記録(出典:Yahoo!ニュース)

【復帰条件と最短日数】IL入りした選手はいつ試合に戻れる?

IL入りした選手の復帰時期を考える際、最低登録期間と実際の復帰日は区別しなければならない。

10日間ILなら10日後、15日間ILなら15日後に自動的に出場できるわけではない。必要な期間を経過したうえで、選手の健康状態を確認し、球団が復帰手続きを行う必要がある。

ILから復帰するための基本的な条件

一般的な復帰までの流れは次のようになる。

  • 負傷した部位や症状について治療を受ける。
  • 患部の回復状況を確認し、練習や実戦形式の調整を進める。
  • 必要な最低IL登録期間を満たす。
  • 球団の医療スタッフが競技復帰可能と判断する。
  • 球団が選手をILから復帰させ、ロースターに再登録する。

ここで重要なのが、医学的な回復とロースター上の復帰は別々の判断だということだ。

選手が練習に参加できる状態になっても、球団が復帰を決定し、必要な登録枠を確保しなければ公式戦には出場できない。

マイナーリーグでのリハビリ出場も可能

MLBでは、ILに登録された選手が復帰前にマイナーリーグの球団でリハビリ出場する制度も用意されている。

これはRehabilitation Assignment(リハビリテーション・アサインメント)と呼ばれる。ILに登録されたまま、実戦感覚や投球フォーム、打撃の状態などを確認できる仕組みだ。

2022~2026年基本協約では、選手本人の書面による同意とコミッショナーの承認を条件に、通常のリハビリ期間を野手は最大20日間、投手は最大30日間としている。UCL再建手術からのリハビリには、所定の承認を得たうえで追加延長が認められる場合もある。

リハビリ出場は、単なる調整ではなく、公式戦への復帰を見据えた重要な段階だ。投手であれば実戦での球速や制球、野手であれば打席での対応や守備動作などを確認する機会になる。

なお、リハビリ出場中の期間も、協約上はメジャーのサービス・タイムとして扱われ、選手はメジャー契約に基づく給与を受け取る。

脳震盪の場合は追加の復帰承認が必要

7日間ILからの復帰では、通常の故障とは異なる安全管理が行われる。

2022~2026年基本協約では、脳震盪でILに登録された選手について、球団が復帰前にReturn to Play Form(競技復帰確認書)と必要な資料をコミッショナー事務局のメディカルディレクターに提出することを定めている。

そして、選手をILから復帰させる前に、所定の復帰承認を得なければならない。

これは頭部への負傷を軽く扱わず、症状の再発や競技復帰後のリスクを抑えるための措置だ。7日間という短い最低期間だけを見て、脳震盪の選手がすぐに試合へ戻れると判断するのは正しくない。

最低登録期間を過ぎても復帰が遅れる理由

最低期間を消化した後もILに残る選手がいるのは、制度上の異常ではない。

例えば、10日間ILに登録された選手が、10日目の時点でまだ走塁や守備に不安を抱えていれば、球団は復帰を見送ることができる。

投手の場合も同様だ。痛みがなくなっただけでは十分ではなく、ブルペン投球や実戦形式の練習を通じて、負荷に耐えられるかを確認する必要がある。

つまり、ILの日数は復帰を認めるための最低条件であり、復帰を保証するカウントダウンではない。

【26人枠・40人枠】故障者リスト入りでMLBのチーム編成はどう変わる?

MLBのILを理解するには、26人枠と40人枠の違いを押さえる必要がある。ILに登録された選手がどちらの枠から外れるかによって、球団が新しい選手を登録する際の手続きが変わるためだ。

26人枠は実際にメジャーで活動する選手の登録枠

26人枠は、MLB球団がレギュラーシーズンの大部分で運用するアクティブ・ロースターだ。開幕日から8月31日までの基本人数は26人で、ポストシーズンも26人となる。

ただし、9月1日からレギュラーシーズン終了までは、登録人数が28人に拡大される。この期間の投手登録上限は14人だ。通常期間の投手登録上限は13人となっている。

ILに登録された選手は、このアクティブ・ロースターから外れる。球団は空いた枠を利用して、40人枠に登録されているマイナーリーグの選手などを昇格させることができる。

40人枠はメジャー契約選手を管理する登録枠

40人枠は、メジャーリーグの選手登録を管理するための上位の枠組みだ。26人枠の選手は、原則として全員が40人枠にも登録されている。

一方、40人枠には、26人枠に入っていないマイナーリーグ所属選手なども含まれる。

そのため、26人枠と40人枠は同じ意味ではない。26人枠が実際にメジャーの試合へ出場する選手を管理するのに対し、40人枠は球団が保有するメジャー契約上の選手登録を管理する役割を持っている。

ILの種類によって40人枠への影響が変わる

7日・10日・15日間ILに登録された選手は、26人枠からは外れるが、40人枠には残る。

一方、60日間ILの選手は、最低60日間の離脱が必要になる代わりに、40人枠から一時的に外れる。

40人枠が満員の球団にとって、この違いは非常に大きい。新たなマイナー選手を40人枠に加えたい場合、別の選手を枠から外す必要があるが、60日間ILへの移行によって空きを確保できる場合がある。

ただし、60日間ILへの登録は、40人枠が上限に達している場合、または新しい選手を加えることで上限を超える場合など、規則に定められた条件に従う。

また、60日間ILから復帰する選手を再登録する際には、40人枠の空きを確保しなければならない。

MLB公式用語集と40人枠の説明を踏まえると、ILは選手の健康管理だけでなく、球団の選手保有枠を調整するための制度でもあることが分かる。

【検証資料 3】故障者リストに関する近況・インタビュー報道記録(出典:Yahoo!ニュース)

【NPBとMLBを比較】故障者制度・選手の給与・待遇はどう違う?

日本のプロ野球にも故障による出場選手登録抹消はある。しかし、MLBのように故障の種類に応じて7日・10日・15日・60日間の公式ILへ振り分ける仕組みとは異なる。

NPBは出場選手登録の抹消と再登録制限が基本

NPBでは、けがをした選手を一軍の出場選手登録から抹消する形で対応する。日本野球機構(NPB)の公式公示では、出場選手登録と登録抹消が日付ごとに発表される。

通常、出場選手登録を抹消された選手は、抹消から10日間を経過しなければ再登録できない。ただし、脳震盪特例措置や感染症特例、慶弔休暇特例など、一定の例外が存在する。

実際、2026年9月25日のNPB公式公示では、横浜DeNAベイスターズの松尾汐恩選手について、脳震盪特例措置によって10日間を経ずに復帰することが案内された。

また、10月17日の公示では、登録抹消された選手について10月27日以降でなければ再登録できない旨が示されている。

こうした公示からも分かるように、NPBは一軍登録と再登録の制限を中心に管理しており、MLBのような複数の最低期間を持つ故障者リストを運用しているわけではない。

NPBにも故障者特例措置はある

注意したいのは、NPBに故障者に関する特例がまったく存在しないわけではないという点だ。

代表的なのが、国内FA権などの取得に関係する故障者特例措置である。

NPBの公表する制度では、前年に一軍出場選手登録日数145日を満たした選手が、2月1日から11月30日までの期間にグラウンド上で発生した故障やけがによって登録抹消され、その年の登録日数が145日に達しなかった場合、一定条件のもとで登録抹消日から二軍公式戦に出場する日までの日数を加算できる。加算上限は60日だ。

これは選手のFA資格取得に関する救済制度であり、MLBの60日間ILと同じものではない。

MLBのILは選手の出場可否とロースター管理を中心に設計されているのに対し、NPBの故障者特例措置は一軍登録日数に基づく資格取得への配慮という性格を持つ。

MLBではIL入りしても給与とサービス・タイムが原則維持される

選手の待遇についても、MLBとNPBを比較する際に重要なポイントがある。

MLBでは、メジャー契約を維持した選手がIL入りしたからといって、自動的に年俸が減額されたり、契約が解除されたりするわけではない。

選手契約の規定では、球団との契約に関連して発生した負傷による就業不能について、所定の条件のもとで全額給与を受け取る権利が明記されている。

さらに、メジャーのサービス・タイムも重要だ。MLB公式用語集によると、選手は26人枠またはメジャーのILに在籍する1日ごとにサービス・タイムを獲得する。

サービス・タイムは、年俸調停やFA資格などに関係する重要な日数だ。通常、1シーズンで172日のサービス・タイムを獲得すると、1年分として扱われる。

そのため、IL入りして試合に出場できない期間であっても、選手のキャリア上の権利に関係する日数が加算される仕組みになっている。

MLBとNPBの故障者制度の主な違い

  • 登録区分:MLBは4種類のILを使い分ける。NPBは出場選手登録の抹消を基本とする。
  • 最低期間:MLBは登録区分ごとに7・10・15・60日間。NPBは通常、抹消から10日間の再登録制限がある。
  • 登録枠:MLBは26人枠と40人枠を区別する。NPBは一軍出場選手登録を中心に管理する。
  • 長期離脱への対応:MLBは60日間ILによって40人枠を空けられる。NPBは同様の40人枠連動型ILを採用していない。
  • 資格日数:MLBはメジャーILの在籍日数がサービス・タイムに算入される。NPBにも一定条件を満たす故障者特例措置がある。

【プロの結論】2026年のILニュースで見落としてはいけないポイント

MLBの故障者リストを正確に読み解くには、ILの数字だけを見て復帰時期を予想しないことが大切だ。

特に、次の3つの誤解は避けたい。

誤解1:10日間ILなら10日後に必ず復帰する

10日間は最低登録期間であり、復帰予定日ではない。選手の回復が遅れれば、数週間から数か月にわたってILに残る可能性もある。

報道を見る際には、最低登録期間だけでなく、球団が発表した復帰見込みや実戦復帰の状況を確認したい。

誤解2:60日間IL入りはシーズン終了を意味する

60日間ILは最低60日間の登録期間を設ける制度であり、必ずシーズン終了まで離脱するという意味ではない。

60日間が経過し、医療面の復帰条件を満たし、球団が必要な登録手続きを行えば、シーズン中の復帰も可能だ。

誤解3:IL入りすると選手は40人枠から外れる

これは60日間ILに限った特徴だ。7日・10日・15日間ILでは、選手は40人枠に残る。

したがって、選手の故障情報だけを見て球団の補強やマイナー選手の昇格を予測するのは不十分だ。どの種類のILに登録されたかを確認する必要がある。

2026年の故障者情報をチェックする際の判断基準

実際に選手のIL入りを確認する場合は、次の順番で情報を整理すると分かりやすい。

  • ① ILの種類:7日・10日・15日・60日のどれに登録されたか。
  • ② 登録日:発表日だけでなく、遡及登録の有無を確認する。
  • ③ 負傷情報:故障箇所、診断内容、球団が示した回復見込みを確認する。
  • ④ リハビリ状況:マイナーでの実戦復帰や投球練習の進捗を確認する。
  • ⑤ ロースター変更:代替選手の昇格や40人枠の調整を確認する。

特に、60日間ILへの移行は、球団の40人枠運用にも関係するため、単なる負傷ニュース以上の意味を持つことがある。

また、2026年シーズンの公式な制度情報を調べる場合は、MLB公式用語集、MLB選手会の基本協約、球団のトランザクション情報を照合するのが確実だ。選手個人の復帰時期については、ILの最低期間と球団の最新発表を分けて確認したい。

故障者リスト(IL)に関するよくある質問(FAQ)

Q1:MLBの故障者リストには何種類ありますか?
A1:2026年現在、7日間・10日間・15日間・60日間の4種類がある。7日間は脳震盪、10日間は野手、15日間は投手と二刀流選手、60日間は全選手が対象となる。

Q2:10日間ILに入った野手は最短何日で復帰できますか?
A2:最低10日間の登録期間を満たした後、球団の医学的な復帰判断と登録手続きが完了すれば復帰できる。ただし、10日経過だけで自動的に復帰するわけではない。

Q3:投手が10日間ILではなく15日間ILに入るのはなぜですか?
A3:MLBは投手と二刀流選手について、2022年から最低登録期間を15日間に設定している。先発投手などの短期間での入れ替えを抑え、投手のコンディション管理に配慮する仕組みだ。

Q4:60日間ILに登録されると40人枠から外れますか?
A4:外れる。60日間ILに登録された選手は、最低60日間の離脱が必要になる一方、球団の40人枠の人数には算入されない。7日・10日・15日間ILの選手は40人枠に残る。

Q5:ILに登録された選手の年俸はどうなりますか?
A5:IL入りによって自動的に契約解除や減俸になるわけではない。メジャー契約を維持している選手は契約に基づく待遇を受け、業務上の負傷については選手契約規定に全額給与の保障が明記されている。

Q6:故障者リストのDLとILは別の制度ですか?
A6:基本的には同じ制度を指す。MLBは2019年シーズンからDisabled List(DL)をInjured List(IL)へ名称変更した。

Q7:NPBにもMLBのような60日間ILはありますか?
A7:MLBと同じ仕組みの60日間ILはない。NPBでは出場選手登録の抹消を基本としており、故障者特例措置などはFA資格に関する登録日数の救済制度として運用されている。

まとめ:MLBの故障者リストは登録期間とロースターの両面で理解する

2026年のMLBでは、7日間・10日間・15日間・60日間という4種類の故障者リストが運用されている。それぞれ脳震盪、野手、投手・二刀流選手、長期離脱を含む全選手という異なる対象が設定されている。

最も重要なのは、数字が復帰予定日ではなく最低登録期間を示していることだ。期間を満たした後も、医学的な回復確認や球団の手続きが必要となる。

また、26人枠から外れる点は共通していても、40人枠に残るかどうかはILの種類によって異なる。特に60日間ILは、球団が40人枠を確保できるという編成上のメリットを持つ。

NPBとの比較では、日本は出場選手登録の抹消と再登録制限が基本であり、MLBのように故障者を4つのILに分類する制度とは構造が違う。

IL入りのニュースを見たときは、登録区分、登録日、負傷内容、リハビリの進捗、ロースター変更の5点を確認したい。これらを押さえれば、選手がいつ戻るのかだけでなく、球団がどのような戦力構想を描いているのかまで読み取れるようになる。

主な参照資料
- MLB公式用語集:7日間・10日間・15日間・60日間IL、26人枠、40人枠、サービス・タイム。
- MLB選手会「2022–2026 Basic Agreement」第13条・第19条。
- 日本野球機構(NPB):2026年度出場選手登録・登録抹消公示、FA制度および故障者特例措置。