【韓国の死因別死亡率】がん・心疾患・肺炎が長寿を左右する
平均寿命が83.7歳まで延びた韓国ですが、死亡原因を見ると、長寿国ならではの課題も浮かび上がります。
韓国国家データ処が2025年9月25日に公表した「2024年死亡原因統計」によると、2024年の死亡者数は358,569人でした。人口10万人当たりの死亡数を示す粗死亡率は702.6人で、前年より1.9%増加しています。
韓国の主な死因トップ3

2024年の死亡原因で上位を占めたのは、がん、心疾患、肺炎です。
| 死亡原因 | 全死亡者に占める割合 |
|---|---|
| がん | 24.8% |
| 心疾患 | 9.4% |
| 肺炎 | 8.4% |
| 自殺 | 4.1% |
上位3つの死因だけで、全死亡者の42.6%を占めています。
特に注目されるのが、がんによる死亡です。2024年には88,933人ががんで亡くなり、全死亡者の約4人に1人に相当しました。
韓国のがん死亡率で高い割合を占める肺がん

がんの種類別に見ると、最も死亡者が多かったのは肺がんです。
2024年のがん死亡者の内訳は、次のようになっています。
- 肺がん:19,401人(21.8%)
- 肝臓がん:10,432人(11.7%)
- 大腸がん:9,683人(10.9%)
- 膵臓がん:8,190人(9.2%)
- 胃がん:7,213人(8.1%)
肺がんは全がん死亡者の2割以上を占めています。がん全体の死亡負担を考えるうえで、肺がん対策は大きな意味を持ちます。
また、2024年生命表では、2024年生まれの人が将来、がんで死亡する確率は19.5%と推計されました。これは特定の年齢層の死亡率や、2024年に実際に亡くなった人の構成比とは異なる指標です。
同じがんに関する統計でも、何を分母にしているかによって意味が変わります。
長寿国・韓国が抱える自殺という深刻な課題

韓国の死亡統計でもう一つ見逃せないのが、自殺です。
2024年の自殺者数は14,872人で、前年から6.3%増加しました。死亡原因全体の4.1%を占め、10~49歳では自殺が主要な死亡原因となっています。
平均寿命が長いことは、すべての年代の健康や生活の安心が保障されていることを意味しません。
高齢者の慢性疾患やがんへの対策だけでなく、若年層・働き盛りの世代の精神的な健康や社会的支援も、韓国の長寿社会を評価するうえで欠かせない論点です。
【韓国の平均寿命が長い理由】医療アクセスと死亡率の低さ、その一方にある生活習慣の課題
韓国の平均寿命が83歳を超える背景には、医療環境の整備と死亡率の改善があります。
単に食生活や気候だけで長寿を説明することはできません。医療を受けやすい仕組み、病気を早期に発見する環境、治療技術の進歩など、複数の要素が関係しています。
1. 医療サービスへのアクセスが改善した
韓国の平均寿命の上昇を支える要素の一つが、医療サービスの利用機会の拡大です。
2024年生命表に関する韓国政府の説明を報じた聯合ニュースでは、全国的な医療サービスの拡充と病院受診機会の増加が、平均寿命の改善に寄与したと紹介されています。
医療機関で診断を受け、治療を開始できる環境が整えば、以前は死亡につながっていた病気でも救命できる可能性が高まります。
OECDの「Health at a Glance 2025」でも、韓国の予防可能な死亡率は人口10万人当たり106人で、OECD平均の145人を下回っています。
さらに、適切な医療によって防げるとされる治療可能な死亡率も、韓国は45人、OECD平均は77人です。
この差は、韓国の医療体制が死亡率の改善に一定の成果を上げていることを示しています。
2. 男性の死亡率改善が男女の寿命格差を縮小
韓国の平均寿命が延びた背景には、男性の死亡状況の変化もあります。
1985年に8.6歳あった男女差は、2024年には5.8歳になりました。
事故や肝疾患による男性の死亡が減ったことが、格差縮小の一因とされています。
男性の平均寿命が80.8歳まで延びたことは、韓国全体の長寿化を考えるうえで重要な変化です。
3. 肥満率の低さも健康指標の一つ
OECDの2025年韓国カントリーノートによると、韓国の自己申告による肥満率は5%で、OECD平均の19%を大きく下回っています。
また、1人当たりのアルコール消費量は年間7.8リットルで、OECD平均の8.5リットルを下回りました。
こうした健康関連指標は、韓国の長寿を考える際の参考になります。
ただし、自己申告による肥満率は実測値とは異なります。また、肥満率が低いことだけで平均寿命の長さを説明することもできません。
4. 長寿の裏側にある運動不足と健康不安
韓国の健康指標には、改善すべき課題も残っています。
OECDの同じ資料では、韓国の成人の61%が十分な身体活動を行っていないとされています。OECD平均は30%です。
さらに、自分の健康状態を悪い、または非常に悪いと評価した人の割合は11.3%で、OECD平均の8.0%を上回りました。
つまり、韓国は平均寿命や医療による死亡回避の面では優れた数字を示す一方、日常的な運動や本人が感じる健康状態には課題を抱えています。
長く生きるための医療環境と、健康な生活を維持するための生活習慣は、別々に考えなければなりません。
【プロの結論】韓国の長寿を評価するなら平均寿命だけで判断しない
韓国の平均寿命83.7歳という数字は、医療環境の改善と死亡率の低下が積み重なった成果です。
しかし、今回の統計を総合すると、韓国の長寿には三つの異なる側面があります。
第一に、平均寿命は過去最高水準に達しており、日本やOECD諸国と比較しても非常に高いこと。
第二に、疾病期間を除いた平均余命は65.5歳であり、平均寿命との差が18.2年存在すること。
第三に、がんや心疾患などの疾病に加え、自殺や運動不足といった社会・生活習慣上の課題が残っていることです。
本当に評価すべきなのは、何歳まで生きるかだけでなく、何歳まで健康で自立した生活を送れるかという点です。
韓国は長寿国として高い水準にありますが、次の課題は寿命の延長から健康寿命の延伸へと移っています。
【韓国平均寿命】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:韓国の平均寿命は2026年現在、何歳ですか?
2026年10月時点で最新の確定公表値は、2024年の83.7歳です。男性は80.8歳、女性は86.6歳です。韓国国家データ処が2025年12月に公表した生命表に基づいています。
Q2:韓国と日本では、どちらの平均寿命が長いですか?
2024年の国内生命表では、日本が韓国を上回っています。男性は日本81.09歳、韓国80.8歳、女性は日本87.13歳、韓国86.6歳です。
Q3:韓国の健康寿命は何歳ですか?
2024年生命表の疾病期間を除いた平均余命は65.5歳です。男性64.6歳、女性66.4歳となっています。なお、主観的に健康だと感じる期間は73.8歳で、別の指標です。
Q4:韓国の平均寿命が長い理由は何ですか?
医療サービスへのアクセス拡大、治療技術の進歩、予防可能な死亡や治療可能な死亡の減少などが関係しています。OECDの比較でも韓国の予防可能な死亡率と治療可能な死亡率は平均を下回っています。
Q5:韓国の平均寿命は今後も延びますか?
長期的には医療の進歩や疾病対策によって延びる可能性があります。ただし、高齢化、がんや慢性疾患、運動不足、自殺などの課題もあり、今後の推移は死亡率や健康状態の変化に左右されます。
まとめ:韓国の平均寿命83.7歳、その先にある健康長寿の課題
2026年10月時点で最新の確定値となる韓国の平均寿命は、2024年の83.7歳です。男性80.8歳、女性86.6歳で、男女とも前年より0.2歳延びました。
1970年の62.3歳から21.4歳も延びた韓国は、世界でも有数の長寿国です。OECDの国際比較でも上位に位置し、日本との差も小さくなっています。
一方、疾病期間を除いた平均余命は65.5歳にとどまり、がん、心疾患、肺炎、自殺などの課題も明らかになっています。
韓国の平均寿命を正しく理解するためには、次の3点を確認することが大切です。
- 統計の対象年:2024年の国内確定値なのか、2023年のOECD比較値なのか。
- 指標の違い:平均寿命なのか、健康寿命なのか。
- 社会的背景:長寿化だけでなく、疾病や死亡原因、生活習慣も含めて評価すること。
韓国の長寿化は、医療と社会環境の改善がもたらした成果です。そして今後の焦点は、83歳を超える平均寿命をさらに延ばすことだけでなく、健康で充実した生活を送れる期間をどこまで長くできるかにあります。