在日韓国人とは?歴史・人口推移・特別永住者の違いを2026年最新統計で解説
在日韓国人とは、歴史的に朝鮮半島にルーツを持ち、日本で暮らしてきた人々や、その子孫を指す言葉です。日本による朝鮮半島の植民地支配、第二次世界大戦、1952年のサンフランシスコ平和条約発効など、複数の歴史的経緯が現在の在日韓国・朝鮮人社会につながっています。
2026年10月現在、出入国在留管理庁が公表した最新の在留外国人統計は、2026年6月末時点のものです。韓国籍として登録されている在留者は408,682人。一方、2025年末の統計では「朝鮮」と表記された人も22,201人確認されています。さらに、特別永住者という歴史的背景を持つ法的地位や、日本国籍を取得した帰化者も存在するため、単純な国籍別人口だけでは実態を把握できません。
歴史、人口、在留資格、世代、生活、差別問題を整理すると、在日韓国人という言葉の背景には、国籍だけでは説明できない多様な人生と社会的事情があることが分かります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 定義:在日韓国人は法律上の在留資格ではなく、日本に暮らす韓国系の人々やその子孫を表す社会的な呼称。
- 2026年最新統計:2026年6月末の韓国籍在留者は408,682人。2025年末には「朝鮮」表記の22,201人も確認されている。
- 歴史的背景:植民地支配、戦時動員、戦後の国籍変更などが、現在の在日韓国・朝鮮人社会の形成に関係している。
- 特別永住者:一般の永住者とは根拠法や制度上の扱いが異なる特別な法的地位。
- 世代と暮らし:一世から四世、帰化した人まで存在し、言語、文化、国籍、アイデンティティーは一様ではない。
【基本知識】在日韓国人とはどのような人々を指すのか

在日韓国人の意味と定義

在日韓国人とは、一般的に韓国にルーツを持ち、日本で生活する人々を指す言葉です。歴史的な文脈では、韓国籍の人だけでなく、朝鮮半島に出自を持つ人々や、その子孫を含めて使われることもあります。
特に歴史や社会問題を扱う場合は、「在日韓国・朝鮮人」「在日コリアン」という表現も使用されます。これらは必ずしも同一の法的カテゴリーではありませんが、日本社会に定着した朝鮮半島出身者とその子孫を広く捉える際に用いられます。
重要なのは、在日韓国人という言葉自体が、日本の法律で定められた国籍や在留資格の名称ではないことです。
例えば、次のような人々が広い意味での在日コリアン社会に含まれます。
- 韓国籍を持ち、日本で長年生活している人
- 朝鮮半島出身の祖父母や親を持ち、日本で生まれ育った人
- 特別永住者として日本に生活基盤を持つ人
- 日本への帰化によって日本国籍を取得した韓国系の人
- 1980年代末以降に韓国から来日し、日本で生活を築いた人
したがって、在日韓国人を単に「韓国から来た外国人」と説明するだけでは、歴史的な背景や現在の生活実態を十分に理解できません。
在日韓国人と在日朝鮮人は同じなのか

両者は歴史的な背景を共有する部分がありますが、現在の国籍・地域の表記や本人の自己認識は異なる場合があります。
韓国籍は大韓民国の国籍を意味します。一方、行政上の「朝鮮」という表記は、必ずしも北朝鮮の国籍を意味しません。
2008年の政府答弁書では、外国人登録における「韓国」は国籍を表示するものとして使用する一方、「朝鮮」は朝鮮半島出身者を示すもので、特定の国籍を表示するものではないと説明されています。
つまり、行政上の「朝鮮」という表記だけで、その人が北朝鮮の国民であると判断することはできません。
在日韓国人は日本人と何が違うのか
最も明確な違いは、国籍や法的な身分です。
韓国籍を持つ在日韓国人は、日本に居住していても日本国籍を持つわけではありません。そのため、選挙権や旅券、在留管理などについて、日本国籍者とは異なる法的取り扱いを受けます。
ただし、生活文化や使用言語、価値観まで国籍によって一律に決まるわけではありません。
日本で生まれ、日本語を第一言語として育ち、日本の学校に通い、日本企業で働く韓国系の人もいます。日本国籍を取得した人もいれば、韓国籍を維持しながら日本を生活の中心にしている人もいます。
国籍、民族的ルーツ、文化的アイデンティティーは、それぞれ区別して理解する必要があります。
【歴史と経緯】植民地支配から戦後まで、在日韓国人社会はどう形成されたのか
1910年の韓国併合と日本への移住
在日韓国・朝鮮人の歴史を理解するうえで重要なのが、1910年の韓国併合です。
日本による朝鮮半島の植民地支配が始まると、朝鮮半島と日本の間の人の移動は大きく変化しました。
1910年代から1930年代にかけて、日本へ渡る朝鮮人は増加していきます。その背景には、朝鮮半島の農村経済の変化、土地や生活基盤をめぐる問題、日本の工業化による労働需要など、複数の要因がありました。
移住の理由は一つではありません。仕事を求めて自ら渡航した人、家族とともに移り住んだ人、留学や商業活動を目的とした人など、さまざまな経緯がありました。
1939年から1945年の戦時動員
日中戦争から太平洋戦争に至る時期には、日本の戦時体制が強化され、朝鮮半島出身者の労働動員も拡大しました。
1939年以降、労務動員の仕組みが段階的に強化され、1944年には国民徴用令が朝鮮にも適用されました。工場、鉱山、土木工事などで働かされた人々もいました。
この時期の移動には、募集、官斡旋、徴用など異なる形態があり、本人の意思が十分に尊重されなかったケースもあります。
ただし、現在の在日韓国・朝鮮人の祖先が全員、戦時中に強制的に連れてこられたという説明も正確ではありません。戦前からの移住、戦時動員、家族の事情、戦後の移動など、各家庭によって歴史は異なります。
1945年の敗戦と帰国しなかった人々
1945年に日本が敗戦すると、朝鮮半島出身者の多くは故郷への帰国を選択しました。
一方、日本で仕事や家族、住居を築いていた人、朝鮮半島の政治的・経済的混乱などを背景に帰国しなかった人もいました。
戦争終結時の在日朝鮮人については約230万人とする推計があり、その後、多くの人が帰国しました。1947年の外国人登録では、朝鮮人の登録者数は598,507人となっています。
この時期、日本政府は1947年5月2日に外国人登録令を施行し、朝鮮半島出身者などを当分の間、外国人とみなして登録対象としました。
1952年のサンフランシスコ平和条約と日本国籍の喪失
在日韓国・朝鮮人の法的地位を大きく変えたのが、1952年4月28日のサンフランシスコ平和条約発効です。
日本の植民地支配下では、朝鮮半島出身者は日本国籍を持つ帝国臣民として扱われていました。ただし、戸籍は日本本土出身者とは別に管理されていました。
平和条約の発効に伴い、日本政府は朝鮮半島や台湾に本籍を持つ人々について、日本国籍を喪失したものとして取り扱いました。
この変更は、本人が日本に住み続けたいかどうかとは別に進められたため、戦前から日本に生活基盤を築いていた人々にとって大きな転換点となりました。
その後、韓国籍を選択する人や、朝鮮という表記を維持する人など、異なる立場が生まれていきます。
1991年の特別永住者制度と2012年の制度変更
戦後の在日韓国・朝鮮人の法的地位を安定させるため、日韓両国の交渉などを経て、1991年に入管特例法に基づく特別永住者制度が制度化されました。
この制度は、戦前から日本に居住し、平和条約の発効によって日本国籍を離脱した人々と、一定の条件を満たすその子孫について、歴史的経緯や日本社会への定着性を考慮して特別な法的地位を認めるものです。
さらに2012年7月9日には新しい在留管理制度が導入され、外国人登録法が廃止されました。特別永住者には、従来の外国人登録証明書に代わる特別永住者証明書が交付される仕組みに変わっています。
【2026年最新統計】在日韓国人の人口と推移を公的データから検証
2026年6月末の韓国籍在留者は408,682人
2026年10月29日現在、最新の公表資料として確認できるのは、出入国在留管理庁が2026年10月16日に公表した「令和8年6月末における在留外国人数について」です。
同資料によると、2026年6月末の日本の在留外国人数は4,281,026人で、前年末から155,631人増加しました。
国籍・地域別では、韓国は408,682人で、中国、ベトナムに次ぐ3番目の規模です。2025年末の407,341人からは1,341人増加しています。
ここで注意したいのは、この408,682人が「在日韓国人全体」の人数ではないことです。あくまで在留カード等の国籍・地域欄に「韓国」と表示された在留者の数です。
日本に帰化して日本国籍を取得した韓国系の人々や、別の行政上の表記を持つ人々は、この数字だけでは把握できません。
2025年末の韓国・朝鮮表記の内訳
2025年12月末の在留外国人統計を詳しく見ると、次の数字が確認できます。
- 韓国:407,341人
- 朝鮮:22,201人
- 特別永住者全体:266,896人
韓国と朝鮮の表記を単純に合計すると429,542人になります。しかし、この合計も民族的な意味での在日韓国・朝鮮人全体を示すものではありません。
特に「朝鮮」は北朝鮮国籍を意味するとは限らず、行政上の表記として理解する必要があります。
人口推移から見える在日韓国・朝鮮人社会の変化
歴史的な人口推移を見ると、在日韓国・朝鮮人の登録者数は、戦後の帰国、出生、死亡、帰化、国籍や行政上の区分の変更などによって変化してきました。
山川出版社の日本史資料や北海道大学の研究資料などに掲載された外国人登録統計では、1947年の598,507人から、1990年には687,940人となっています。その後は減少傾向に転じ、2011年には約54万5,000人となりました。
ただし、2012年以降は統計上の国籍・地域の集計方法が変わっています。したがって、過去の「韓国・朝鮮」合算値と現在の「韓国」「朝鮮」の数字を、完全に同じ条件の人口として比較することはできません。
歴史・制度・人口の関係を整理
| 時期 | 主な出来事・制度 | 在日韓国・朝鮮人社会への影響 |
|---|---|---|
| 1910年 | 韓国併合 | 植民地支配下で朝鮮半島と日本の人の移動が拡大する背景となる |
| 1910〜1938年 | 労働・経済・教育などを目的とした移住 | 日本で暮らす朝鮮半島出身者が増加 |
| 1939〜1945年 | 戦時労務動員・徴用 | 戦時動員によって日本に渡った人々が存在 |
| 1947年 | 外国人登録令の施行 | 朝鮮人登録者は598,507人 |
| 1952年 | サンフランシスコ平和条約発効 | 朝鮮半島に本籍を持つ人々が日本国籍を喪失したものとして扱われる |
| 1991年 | 入管特例法による特別永住者制度 | 歴史的経緯を持つ定住者と一定の子孫の法的地位を安定化 |
| 2012年 | 新しい在留管理制度の導入 | 外国人登録証明書が廃止され、特別永住者証明書へ移行 |
| 2025年12月末 | 在留外国人統計 | 韓国407,341人、朝鮮22,201人、特別永住者全体266,896人 |
| 2026年6月末 | 最新の在留外国人統計 | 韓国408,682人、在留外国人全体4,281,026人 |
この推移から読み取れるのは、在日韓国・朝鮮人社会が、単純に韓国からの移住者の増減だけで形成されているわけではないということです。
歴史的な定住者の世代交代、帰化、新しい韓国からの来日者など、異なる背景を持つ人々が同じ社会の中に存在しています。
【在留資格を徹底比較】特別永住者と一般の永住者・韓国籍の違い
特別永住者とは何か
特別永住者とは、日本国との平和条約によって日本国籍を離脱することになった人々と、法律で定められた一定の条件を満たす子孫などに認められる特別な法的地位です。
根拠となるのは「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国の管理に関する特例法」です。
一般的な永住者とは異なり、戦後の国籍変更という歴史的経緯を踏まえて設けられた制度であることが特徴です。
特別永住者は、就労活動に特別な制限がなく、日本で生活する期間について通常の在留期間更新を必要としません。
また、一般の永住者と比べて退去強制の対象となる事由が限定されており、特別永住者証明書の常時携帯義務もありません。ただし、証明書の受領義務や、求められた場合の提示義務などはあります。
特別永住者と一般永住者はどう違うのか
名前は似ていますが、制度の根拠と法的な取り扱いは異なります。
一般の永住者は、出入国管理及び難民認定法に定められた在留資格です。一定の条件を満たして法務大臣から永住許可を受けることで取得します。
一般永住者は、在留期間の更新が不要で、就労活動にも制限がありません。ただし、在留カードの携帯義務があり、入管法に基づく在留管理の対象です。
一方、特別永住者は、別の特例法に基づく地位です。歴史的背景に基づく制度であり、一般永住者とは退去強制の要件なども異なります。
韓国籍と朝鮮籍の違い
韓国籍は、大韓民国の国籍を持つことを意味します。
一方、朝鮮という行政上の表記は、朝鮮半島出身であることなどを示すものであり、それだけで北朝鮮国籍を意味するわけではありません。
朝鮮半島の分断、韓国政府の成立、北朝鮮政府の成立などの歴史的事情が関係しており、本人の政治的立場や民族意識も一様ではありません。
また、朝鮮という表記を持つ人が、全員同じ政治的立場を支持しているわけでもありません。行政上の記載と本人の思想・信条を結び付けて考えるのは適切ではありません。
韓国籍でも特別永住者とは限らない
在日韓国人の中には、特別永住者だけでなく、一般永住者、技術・人文知識・国際業務、留学、日本人の配偶者等など、さまざまな在留資格を持つ人がいます。
例えば、近年韓国から来日して日本企業で働く人と、戦前から日本に定住してきた家族の子孫では、歴史的背景も在留資格も異なる可能性があります。
国籍だけを見て在留資格を推測することはできません。
2026年の特別永住者証明書に関する制度情報
出入国在留管理庁の2026年6月14日更新の案内では、特別永住者証明書の有効期間に関する取り扱いも説明されています。
特別永住者証明書は、特別永住者としての地位そのものとは別に、有効期間の管理が必要な証明書です。2026年6月14日以降に発行された証明書では、年齢に応じた有効期間の取り扱いが変更されています。
特別永住者であることと、証明書の有効期限が無期限であることは同じではありません。
【世代と生活の実態】在日韓国人の三世・四世はどのように暮らしているのか
一世・二世・三世・四世の違い
在日韓国・朝鮮人社会を理解する際には、世代による歴史的な経験の違いも重要です。
一般的には、次のように説明されます。
- 一世:朝鮮半島から日本へ移住した本人の世代。
- 二世:一世の子どもとして日本で生まれた、または幼少期に日本へ移り住んだ世代。
- 三世:日本で生活する二世の子どもに当たる世代。
- 四世:三世の子どもに当たる世代。
ただし、これらは社会的・歴史的な世代区分であり、法律上の資格ではありません。移住時期や家族構成によって、各世代の境界は異なる場合があります。
三世・四世は日本語を話す日本育ちの人も多い
三世・四世の世代では、日本で生まれ、日本の教育制度の中で育ち、日本語を主な言語として生活している人もいます。
一方、家庭で韓国語や朝鮮語を受け継いでいる人、民族学校などで民族の歴史や文化を学んできた人もいます。
家庭によっては、韓国の文化的伝統を大切にしながら、日本社会での生活を中心にしている場合もあります。
韓国語を流暢に話せるかどうか、韓国の文化にどの程度親しんでいるかは、在日韓国人という出自だけでは判断できません。
在日韓国人の生活と仕事
現在の在日韓国人の生活は、一般の日本人と同様に多様です。
会社員、自営業者、経営者、専門職、研究者、学生、芸術家など、さまざまな分野で生活しています。特定の職業や産業に限定されるものではありません。
日本で生まれ育った人にとって、日本の学校、地域社会、職場は日常生活の基盤です。一方で、家族の歴史や民族的ルーツを意識する場面もあります。
氏名についても、日本名を使用する人、本名を使用する人、場面によって使い分ける人などがいます。
こうした選択は本人や家族の考え方、生活環境、社会的経験によって異なります。
2026年に見られる若い世代のアイデンティティー
2026年1月に公開された在日韓国人青年の生活史に関する中間報告書では、全国各地で暮らす青年15人への聞き取りを通じて、それぞれの生活経験や自己認識が紹介されています。
同調査では、在日であることを単純に「差別と抵抗」あるいは「同化と民族」という二つの立場だけで捉えられない、複雑で多様な経験が示されています。
家族、友人、地域コミュニティーなどとの関係を通じて、自分のルーツやアイデンティティーを考える人もいます。
15人を対象にした質的調査であり、日本に暮らすすべての在日韓国人青年の意識を代表する統計ではありません。しかし、若い世代の生活を理解するうえで、一人ひとりの経験に目を向ける必要性を示す資料です。
在日韓国人の帰化と日本国籍の取得
在日韓国人の中には、日本への帰化によって日本国籍を取得する人もいます。
帰化とは、外国籍の人が法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得する制度です。特別永住者であっても一般永住者であっても、法律上の条件を満たして許可を受ければ帰化できます。
帰化後は日本国籍者となり、外国人としての在留資格による管理の対象ではなくなります。
ただし、帰化したことによって、その人の民族的ルーツや家族の歴史が消えるわけではありません。
法務省民事局の2025年の国籍別帰化許可者数によると、韓国・朝鮮出身者の帰化許可者は2,017人でした。同年の帰化許可者総数は9,258人です。
なお、この数字は2025年に許可された人数であり、日本に暮らす韓国系の帰化者全体の人口を示すものではありません。
【差別とヘイトスピーチ】在日韓国人が直面してきた社会問題と法制度
在日韓国人への差別はどのような形で起きるのか
在日韓国・朝鮮人に対する差別は、戦後の日本社会における人権問題の一つです。
歴史的には、国籍を理由とした就職上の制約、社会保障制度へのアクセスをめぐる問題、学校教育や地域社会での差別などがありました。
現在も、民族的ルーツや国籍、氏名などを理由に、侮辱的な言葉を浴びせられたり、インターネット上で誹謗中傷されたりする問題が存在します。
こうした問題は、個人の尊厳や社会参加に関係するものであり、単なる意見の違いとして片付けられるものではありません。
ヘイトスピーチ解消法とは
2016年6月3日、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されました。
正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」です。
この法律は、特定の民族や出身地を理由に、社会から排除しようとしたり、危害を加えようとしたりする不当な差別的言動を解消するための基本的な考え方を示しています。
法務省は、在日韓国・朝鮮人に対する脅迫的な言動や、特定の個人を誹謗中傷するインターネット投稿などについて、人権侵犯事件として対応した事例も公表しています。
ヘイトスピーチ解消法には罰則があるのか
誤解されやすい点ですが、ヘイトスピーチ解消法そのものには、直接的な刑事罰を定めた規定はありません。
同法は、不当な差別的言動が許されないという基本理念を示し、国や地方公共団体に相談体制の整備、教育、啓発などの取り組みを求める法律です。
ただし、具体的な行為が脅迫、名誉毀損、侮辱など別の法律に抵触する場合には、それぞれの法律に基づいて対応される可能性があります。
差別問題を理解するために必要な視点
在日韓国人をめぐる社会問題では、歴史的な背景と現在の個人の生活を分けて考えることが大切です。
植民地支配や戦後の国籍変更は、現在の世代にもつながる歴史的事実です。しかし、その歴史を理由に、現在暮らしている個人の思想や政治的立場、行動を決め付けることはできません。
同様に、韓国政府や北朝鮮政府の政策と、日本に暮らす韓国系住民個人の考え方を同一視することも適切ではありません。
国籍や民族的ルーツにかかわらず、個人を個人として評価することが、差別問題を理解するための基本になります。
【よくある誤解】在日韓国人について知っておきたい事実
誤解1:在日韓国人は全員、韓国から来日した人である
これは正確ではありません。現在の在日韓国人には、日本で生まれ育った二世、三世、四世などもいます。また、近年韓国から来日した人々も含まれるため、移住時期や生活背景はさまざまです。
誤解2:在日韓国人は全員、特別永住者である
これも誤りです。特別永住者のほか、一般永住者、留学生、就労資格を持つ人、日本人の配偶者等、さまざまな在留資格で暮らす人がいます。
誤解3:朝鮮籍は北朝鮮国籍と同じである
行政上の「朝鮮」という表記は、北朝鮮国籍を直接意味するものではありません。朝鮮半島出身を示す歴史的な表記として理解する必要があります。
誤解4:在日韓国人の人口は40万人程度で確定している
40万人という数字は、主に韓国籍として登録されている在留者の規模を示します。朝鮮表記の人、帰化した人、民族的ルーツを持ちながら日本国籍を持つ人などは、単純な韓国籍の統計には含まれません。
そのため、在日韓国・朝鮮人の民族的な人口を正確に示す単一の公的数字が存在するわけではありません。
【在日韓国人に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:在日韓国人とは何世代までを指しますか?
A1:法律上の世代制限はありません。一般的には、一世から二世、三世、四世など、朝鮮半島にルーツを持ち日本で暮らす人々やその子孫を指す社会的な呼称として使われます。帰化した人についても、広い意味で在日コリアンの歴史や社会を語る際に含める場合があります。
Q2:2026年現在、日本に住む韓国人は何人ですか?
A2:出入国在留管理庁の2026年6月末統計では、韓国籍として登録された在留者は408,682人です。2025年末には「朝鮮」と表記された人が22,201人いました。ただし、これらの数字は帰化した人などを含む韓国系住民全体の人口ではありません。
Q3:特別永住者と一般永住者の違いは何ですか?
A3:特別永住者は、戦後の国籍変更という歴史的経緯を踏まえて、入管特例法に基づいて認められる特別な法的地位です。一般永住者は、出入国管理及び難民認定法に基づく在留資格です。根拠法や退去強制の要件、証明書の携帯義務などが異なります。
Q4:在日韓国人は日本に帰化できますか?
A4:できます。特別永住者や一般永住者なども、国籍法に定められた条件を満たし、法務大臣の許可を受ければ日本国籍を取得できます。帰化後は日本国籍者として扱われます。
Q5:朝鮮籍の人は北朝鮮国籍なのですか?
A5:必ずしもそうではありません。日本の行政上の「朝鮮」という表記は、朝鮮半島出身を示すもので、北朝鮮国籍を直接意味するものではありません。
Q6:在日韓国人の三世や四世は韓国語を話せますか?
A6:個人や家庭によって異なります。日本語を主に使用する人もいれば、家庭や学校で韓国語・朝鮮語を学んできた人もいます。世代だけで語学力を判断することはできません。
まとめ:【プロの結論】在日韓国人を理解するには歴史・国籍・個人の生活を分けて考える
在日韓国人とは、単に韓国から日本へ移住してきた人々だけを意味する言葉ではありません。日本による植民地支配、戦時動員、戦後の国籍変更、特別永住者制度の成立など、100年以上にわたる歴史的経緯と深く結び付いています。
2026年6月末の韓国籍在留者は408,682人で、2025年末には朝鮮表記の在留者も22,201人確認されています。しかし、帰化した人や日本国籍を持つ韓国系住民などを含めると、在日韓国・朝鮮人の実態は国籍別統計だけでは把握できません。
また、特別永住者と一般永住者は異なる制度であり、韓国籍と朝鮮表記も同じ意味ではありません。こうした法的な違いを理解することが、在日韓国人をめぐる議論の出発点になります。
さらに、三世・四世の世代では、日本で生まれ育った人、韓国や朝鮮半島の文化を受け継ぐ人、日本国籍を取得した人など、生活やアイデンティティーが多様化しています。
【プロの結論】
在日韓国人を正しく理解するためには、次の3つの視点が欠かせません。
- 歴史を理解する:現在の在日韓国・朝鮮人社会は、植民地支配と戦後の国籍変更という歴史的背景から形成されている。
- 制度を正確に理解する:国籍、朝鮮表記、特別永住者、一般永住者、帰化は、それぞれ異なる概念である。
- 個人の多様性を尊重する:世代、言語、文化、政治的立場、生活環境は人によって異なり、民族的ルーツだけで決め付けることはできない。
2026年以降も、日本社会では外国人政策、在留資格制度、ヘイトスピーチ対策、民族的アイデンティティーをめぐる議論が続いていきます。
在日韓国人という存在を理解することは、日本と韓国の歴史を振り返るだけでなく、日本社会が多様な背景を持つ人々とどのように共に暮らしていくのかを考えることにもつながります。