【検査でどう分かる?】心房中隔欠損症の検査方法と大人になってからの発見

目次

心房中隔欠損症は、幼少期に見つかるとは限りません。大人になって初めて診断される人もおり、健康診断や人間ドックが発見のきっかけになることがあります。

国立循環器病研究センターによると、小児期には症状が目立たないケースが多く、心雑音や心電図異常をきっかけに診断されることがあります。

心房中隔欠損症を調べる主な検査

心房中隔欠損症有名人
検査方法 調べる内容
聴診 心雑音の有無
心電図 不整脈や右心系への負担
胸部レントゲン 心臓の大きさや肺の状態
心臓超音波検査 穴の位置・大きさ・血液の流れ
経食道心エコー 心房中隔や欠損孔の詳細な形状
心臓カテーテル検査 心臓内の圧力や血流量の評価

なかでも中心となるのが心臓超音波検査です。胸に超音波を当て、心房中隔の状態や血液の流れを確認します。

必要に応じて、食道から心臓を観察する経食道心エコーや、心臓カテーテル検査を追加します。

大人になってから発見される理由

心房中隔欠損症有名人

心房中隔欠損症の特徴は、心臓に負担がかかっていても、長い間症状が表面化しないことです。

欠損孔から流れ込む血液が少なければ、心臓の機能によって負担が補われ、日常生活に支障が出ない場合があります。

しかし、血液の短絡量が多い状態が長く続くと、右心房や右心室が拡大し、次第に心臓の機能に影響が及びます。

成人期に発見されるきっかけとしては、次のようなものがあります。

- 健康診断で心電図異常を指摘された
- 人間ドックで心臓の拡大が見つかった
- 階段を上ると息切れするようになった
- 動悸や不整脈が気になり始めた
- 妊娠・出産をきっかけに心臓への負担が問題になった

特に注意したいのは、症状がないことと、治療の必要がないことは同じではない点です。

日本循環器学会などが2025年に公表した成人先天性心疾患診療ガイドラインでも、症状の有無だけではなく、右心系の拡大や血流の状態を踏まえて治療の必要性を判断する考え方が示されています。

【治療法と費用】カテーテル治療・外科手術・術後の経過を解説

心房中隔欠損症有名人

心房中隔欠損症と診断されても、すべての人が手術を受けるわけではありません。

治療の判断には、欠損孔の大きさ、血液の短絡量、右心房・右心室への負担、肺高血圧の有無、年齢や合併症などが関係します。

1.経過観察:小さな欠損では治療しない場合もある

欠損孔が小さく、右心系に明らかな容量負荷がない場合には、すぐに閉鎖術を行わず、定期的な心エコーなどで経過を確認することがあります。

一方、右心房や右心室が拡大するほど血流の負担が大きい場合には、症状がなくても閉鎖術が検討されます。

重要なのは、穴の大きさだけで治療の必要性を決めないことです。

2.カテーテル治療:胸を大きく開かずに穴を閉じる

カテーテル閉鎖術は、足の付け根などの血管から細い管を心臓まで進め、専用の閉鎖栓を使って穴をふさぐ方法です。

閉鎖栓は傘を2枚合わせたような構造で、心房中隔を両側から挟み込むように固定します。

主なメリットは次のとおりです。

- 胸を大きく切開する必要がない
- 外科手術に比べて身体への負担が小さい
- 入院期間や回復期間を短縮できる場合がある
- 手術痕が比較的小さい

ただし、すべての心房中隔欠損症に適用できるわけではありません。

日本循環器学会の2025年改訂版ガイドラインでは、カテーテル治療の対象となる主な条件として、二次孔型であること、欠損径が38mm以下であること、右心室の容量負荷などがあること、原則として欠損孔周囲の十分な辺縁が確保されていることなどが示されています。

一次孔型や静脈洞型、冠静脈洞型などは、基本的に外科手術が選択されます。

3.外科手術:複雑な欠損やカテーテル治療が難しい場合

外科手術では、心臓を直接確認し、欠損孔を縫い閉じたり、パッチと呼ばれる補修材でふさいだりします。

一般的には人工心肺を使用する方法があり、欠損孔の位置や大きさ、ほかの心臓の病気の有無に応じて術式が選ばれます。

カテーテル治療が難しい場合でも、外科手術によって閉鎖できるケースがあります。

また、近年は切開を小さくする低侵襲心臓手術(MICS)も普及しています。2025年改訂版ガイドラインでも、解剖学的な条件や合併症に応じた治療方法の選択が重視されています。

心房中隔欠損症の手術費用はいくら?

治療費は、カテーテル治療か外科手術か、入院期間、年齢、加入する健康保険、所得区分などによって異なります。

日本では、適応となる心房中隔欠損症の閉鎖術は健康保険の対象です。また、高額療養費制度を利用すれば、一定の条件のもとで月ごとの医療費の自己負担額に上限が設けられます。

費用を考える際には、以下の項目を確認する必要があります。

- 手術・カテーテル治療にかかる費用
- 入院基本料や検査費用
- 麻酔や薬剤にかかる費用
- 食事代や差額ベッド代
- 高額療養費制度適用後の自己負担額

滋賀医科大学医学部附属病院も、心房中隔欠損症のカテーテル閉鎖術について、健康保険と高額療養費制度が適用されることを案内しています。

実際の支払額を知りたい場合は、治療を受ける病院の医事課や医療ソーシャルワーカーに、所得区分を伝えて見積もりを依頼するのが確実です。

術後の経過は?普通の生活に戻れるのか

治療後の経過は、手術を受けた年齢や心臓への負担、肺高血圧や不整脈などの合併症の有無によって変わります。

小児期に適切な治療を受けた場合、多くの人は成長後も通常の生活を送ることができます。

成人になってから治療した場合も、余分な血流による心臓への負担を軽減する効果が期待できます。ただし、長年にわたって心臓や肺の血管に負担がかかっていた場合、治療後も不整脈や肺高血圧などが残ることがあります。

カテーテル治療後には、閉鎖栓の状態や血栓などを確認するため、定期的な検査が必要です。

2025年改訂版ガイドラインでは、デバイス閉鎖術後のフォローアップについて、1か月後、数か月後、1年後、その後は原則として年1回の確認が示されています。

心房中隔欠損症の予後と寿命

心房中隔欠損症の予後を考えるうえで大切なのは、欠損孔の大きさだけでなく、治療を受ける時期と心臓への負担です。

適切な時期に治療を受け、重大な合併症がなければ、長期的に良好な経過が期待できます。

一方、未治療のまま長期間経過すると、次のような問題が起きる可能性があります。

- 心房細動などの不整脈
- 肺高血圧症
- 右心不全
- 三尖弁逆流
- 血栓塞栓症

特に成人期まで未治療だった人は、閉鎖術を受ければすべての問題が解消するとは限りません。

日本循環器学会のガイドラインでも、成人期に治療した患者のうち、肺高血圧、心房不整脈、心室機能低下などを合併する人には継続的な管理が必要とされています。

したがって、心房中隔欠損症だから寿命が短いと一律に判断することも、手術を受けたから将来の心臓病の心配がなくなると考えることも適切ではありません。

【よくある質問】心房中隔欠損症の有名人に関するFAQ

Q1:心房中隔欠損症を公表した日本の芸能人は誰ですか?

スギちゃんと紺野ぶるまが、本人のインタビューで幼少期の診断や手術経験を明かしています。いずれも子どもの頃に病気が判明し、手術を経験した人物です。

Q2:心房中隔欠損症は大人になってから発見されることもありますか?

あります。小児期には無症状のことも多く、成人後の健康診断や人間ドックで発見される場合があります。動悸、息切れ、疲れやすさなどが診断のきっかけになることもあります。

Q3:心房中隔欠損症は自然に治りますか?

小さな欠損では自然に閉じる場合がありますが、すべての欠損が自然閉鎖するわけではありません。特に成人で発見された場合は、心エコーなどで欠損孔や心臓への負担を確認する必要があります。

Q4:心房中隔欠損症は遺伝する病気ですか?

一部には遺伝的な関連が認められますが、多くは原因が特定されていません。家族に同じ病気の人がいなくても発症します。

Q5:心房中隔欠損症の手術は必ず必要ですか?

いいえ。欠損孔が小さく、心臓への負担が少ない場合は経過観察となることがあります。血流の短絡量や右心系の拡大などから治療が必要と判断された場合に、カテーテル治療や外科手術が検討されます。

Q6:心房中隔欠損症の治療後は運動できますか?

治療後の状態が安定し、心機能や合併症に問題がなければ、運動やスポーツを再開できる人も多くいます。ただし、再開時期や運動強度は主治医の判断に従う必要があります。

Q7:心房中隔欠損症があると寿命は短くなりますか?

一律に寿命が短くなるわけではありません。欠損孔の大きさ、肺高血圧や不整脈の有無、治療時期などによって予後は異なります。適切な治療と長期的な経過観察が大切です。

まとめ:心房中隔欠損症の有名人と病気を正しく理解するために

2026年現在、心房中隔欠損症について本人が具体的な体験を公表している芸能人として、スギちゃんと紺野ぶるまの事例が確認できます。

スギちゃんは小学3年生の健康診断で発見され、手術後に半年間の入院を経験しました。紺野ぶるまは5歳のときに発見され、卵巣の手術とともに心臓の手術を経験しています。

2人の体験から分かるのは、心房中隔欠損症の発見時期や治療経過は一人ひとり異なるということです。

また、病気そのものについても、次の3点を押さえておく必要があります。

1. 無症状でも心臓に負担がかかっている場合がある。 成人になってから発見されることもあるため、検査による評価が欠かせません。
2. 治療方法は一つではない。 カテーテル閉鎖術と外科手術にはそれぞれ適応条件があり、心臓の構造や合併症によって選択されます。
3. 治療後も経過観察が必要。 適切な治療によって良好な予後が期待できますが、成人期の治療例や合併症がある場合には継続的な管理が重要です。

2025年改訂版の成人先天性心疾患診療ガイドラインは、2026年にも診療を考えるうえで重要な医学的資料です。著名人の体験談は病気を理解するきっかけになりますが、個々の治療方針や寿命を判断する際には、本人の症状と検査結果を基準にする必要があります。

心房中隔欠損症は、早期発見と適切な治療、継続的なフォローアップによって、その後の生活を大きく変えられる可能性のある先天性心疾患です。


主な参考資料:日本循環器学会「2025年改訂版 成人先天性心疾患診療ガイドライン」、国立循環器病研究センター、昭和医科大学病院、こども家庭庁「妊娠中の検査に関する情報サイト」、東京都の子供向け広報誌、日刊ゲンダイDIGITAL、CHANTO WEB、J-CASTニュース、日本小児循環器学会雑誌。