【CMソングの秘密】歌詞の意味と歴代CMの違いを比較
タケモトピアノのCMが長く記憶されている理由の一つが、財津さんの歌声と一度聞くと忘れにくいメロディです。
この楽曲には、アップテンポの「もっともっと篇」と、比較的ゆったりした「みんなまあるく篇」という2種類の代表的なバージョンがあります。
作詞・作曲を担当したのは誰?

文化放送の2017年の番組資料によると、CMソングの制作には次の人物が関わっています。
- 作詞:北川勝利さん
- 作曲:谷本奈利鉱さん
- 歌:財津一郎&タケモット
北川さんは、当時広告代理店でCMを担当していた宣伝担当者で、その後タケモトピアノの広報を担当するようになりました。
会社名を印象づける歌詞を考えるよう依頼され、社名を繰り返す覚えやすいフレーズを生み出したのです。
「もっともっと篇」と「みんなまあるく篇」の違い

もっともっと篇
- 冒頭に猫の鳴き声が入る。
- 財津さんの力強い歌声が印象的。
- 社名を繰り返す勢いのある構成。
- ダンサーのコミカルな動きが特徴。
みんなまあるく篇
- 落ち着いた曲調が特徴。
- 社名と親しみやすさを強調。
- 「みんなまあるく」という言葉が印象的。
- 幸せや笑顔を連想させる温かい演出。
特に「みんなまあるく」という表現には、みんなが幸せになる、笑顔になるという意味が込められていると文化放送の番組資料で紹介されています。
CMソングはCDとしても発売された

タケモトピアノの歌は、テレビCMだけにとどまりませんでした。
2003年にはブロー・ウィンド・レコードからCDが発売され、2013年1月23日には日本コロムビアからCDとDVDのセットが発売されています。
2013年の商品には、30秒版だけでなく、30分間繰り返して楽しめる音源も収録されました。
歌手名は「財津一郎&タケモット」。企業CMの音楽が独立した音楽商品として展開されたこと自体、当時の反響の大きさを示しています。
【2024年・2025年】新CMはどう変わった?AIダンス篇とキリンの正体
財津さんの出演CMが終了した後、タケモトピアノは長年親しまれてきた音楽を残しながら、新しい映像表現へ移行しました。
大きな転換点となったのが、2024年と2025年のAIを活用したCMです。
2024年8月:AI技術を使った新CMが登場
2024年7月29日、タケモトピアノは新CM「タケモトピアノAI篇」の完成を発表しました。テレビ放送は8月1日から関西地区で始まり、約9か月ぶりのCM復活となりました。
この新CMでは、財津さんに代わって、従来のCMにも登場していたピアノの妖精をイメージしたダンサーたちが主役になります。
制作を担当したのは、PARAGON DIGITAL DESIGNとAI model株式会社です。
AIと実写を組み合わせて4人のダンサーを表現し、広大な草原を舞台にした新しい映像を作り上げました。
さらに、新しいブランドイメージキャラクターとしてキリンが登場します。
重要なのは、映像が変わっても「ピアノ売ってちょうだい」というおなじみの歌詞やメロディを残したことです。財津さんが築いたブランドイメージを尊重しながら、新しい世代にも伝わる広告へ進化させる狙いがありました。
2025年10月:AIダンス篇でキリンが主役に
2025年10月10日には、AIを使った第2弾「タケモトピアノ AIダンス篇」が放送開始となりました。
この作品では、タキシードを着たキリンがピアノの演奏に合わせてダンスを披露します。
従来の財津さんのCMにあったコミカルな雰囲気を受け継ぎながら、キリンを新しいブランドの顔として前面に押し出した構成です。
楽曲も引き継がれ、次の2種類が用意されました。
- 「AIダンス もっともっと篇」:アップテンポな音楽に合わせたダンス。
- 「AIダンス みんなまあるく篇」:スローテンポの音楽に合わせたダンス。
放送は2025年10月10日から全国規模で始まりました。ただし、愛媛県・高知県・徳島県は放送対象地域から除外されています。
タケモトピアノの公式発表では、財津さんが出演していたCMの懐かしさと、新しいキリンのキャラクターをAI技術で調和させることが制作の狙いとして説明されています。
新キャラクターのキリンは飲料メーカーのキリンなのか?
ここは混同しやすいポイントです。
CMに登場するのは、動物のキリンをモチーフにしたキャラクターです。
飲料メーカーのキリンビールやキリンホールディングスが新たにタケモトピアノと提携したという意味ではありません。
タケモトピアノが独自に採用したブランドイメージキャラクターであり、AIダンス篇ではタキシード姿で踊る姿が描かれています。
2026年現在のタケモトピアノはどうなっている?
2026年10月30日時点で確認できる公式情報では、2025年10月のAIダンス篇が最新の新CM発表です。2026年の公式お知らせには営業案内や文化活動に関する情報が掲載されていますが、新たなCM刷新の発表は確認できません。
現在の公式サイトでは、財津さん時代から親しまれたフレーズを企業のイメージとして残しながら、中古ピアノの買い取り、修理、再販売、海外への流通を紹介しています。
同社は世界50か国以上への輸出先を掲げており、使わなくなったピアノを再生し、次の利用者へ届ける事業を企業理念の中心に置いています。
また、2026年にはピアノの日のリサイタルや美術展への協賛など、音楽・芸術に関わる活動も公式サイトで紹介されています。
つまり、企業のイメージは財津さんという一人のタレントに依存する形から、キリンとAIダンサー、そして音楽文化や中古ピアノの再生という企業活動を組み合わせた形へ変化しています。
【人気の正体】財津一郎のCMが20年以上愛された理由
なぜ、タケモトピアノのCMはこれほど長く愛され続けたのでしょうか。
その理由は、単に財津さんの知名度が高かったからではありません。
広告としての構造に、長く記憶される仕掛けがありました。
1. 会社名とサービス内容が一度に伝わる
CMには、会社名だけでなく、ピアノを買い取ってほしい人に向けた呼びかけが盛り込まれています。
視聴者は短い時間で、次の3つを理解できます。
- どこの会社なのか。
- 何を扱っているのか。
- どのような行動を取ればよいのか。
広告として非常にシンプルで、記憶に残りやすい設計です。
2. 映像と音楽の組み合わせが独特だった
タキシード姿の財津さん、鍵盤の上で踊るダンサー、猫の鳴き声、印象的な音楽。
これらの要素が組み合わさることで、ほかの中古ピアノ買取広告とは明確に異なる個性を生み出しました。
オリコンの2018年の広告分析記事でも、同CMは内容を長く変えない広告の代表例として取り上げられています。
テレビの地上デジタル放送への移行時も、映像の横幅を調整する程度にとどめ、基本的な内容を維持していたことが紹介されています。
3. 視聴者の声がCMの寿命を延ばした
竹本会長のインタビューで特に印象的なのが、CMを変更しようとした際の視聴者の反応です。
新しい内容のCMを流したところ、従来の財津さんのCMを続けてほしいという意見が相次ぎました。
また、『探偵!ナイトスクープ』で紹介された後は、CMが放送される時間を問い合わせる電話が殺到。放送時間を案内するだけでは対応できず、映像をコピーしたDVDを希望者に送っていた時期もあったといいます。
こうした反響が、CMの継続を後押ししました。
4. 2025年になっても懐かしのヒットCMとして紹介された
タケモトピアノの公式メディア取材履歴によれば、2025年5月22日放送のフジテレビ系『この世界は1ダフル』では、1万人に聞いた25年前の懐かし大ヒットエンタメBEST15に同社のCMがノミネートされ、ランクインしました。
放送終了から約2年が経過しても、懐かしいCMとして取り上げられたことは、ブランドの記憶が残っている証拠の一つです。
CMの評判を評価するときに押さえたいポイント
| 評価する視点 | 確認できる事実 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| 知名度 | 20年以上の長期放送 | 世代を超えた認知 |
| 記憶への残りやすさ | 独特な歌とフレーズ | サウンドロゴとしての強さ |
| 視聴者の反応 | 継続を求める電話やDVD希望 | ファンによる支持 |
| 赤ちゃんへの効果 | 番組での検証と音響分析 | 個人差を考慮する必要 |
| 新しい広告表現 | 2024・2025年のAI作品 | 伝統と技術の融合 |
なお、タケモトピアノの公式沿革には、2017年5月にCM好感度ランキング9位を獲得したという記録もあります。ただし、同ページにはランキングの調査母体や対象範囲の詳しい説明はありません。順位だけで全世代の評価を断定することはできません。
【よくある質問】財津一郎とタケモトピアノに関するFAQ
Q1:財津一郎さんはいつ亡くなりましたか?
2023年10月14日に亡くなりました。享年89歳で、死因は慢性心不全と報じられています。
Q2:タケモトピアノの財津一郎さん出演CMはなぜ終了したのですか?
2023年8月末に放送が終了し、9月末に映像契約が満了しました。20年以上の節目や広告ターゲット、テレビ番組の見直しなどが背景にありました。財津さんの死去によって急きょ終了したわけではありません。
Q3:2026年現在、タケモトピアノの新CMには誰が出演していますか?
2024年のAI篇ではAIと実写を融合したダンサーとキリンが登場し、2025年のAIダンス篇ではタキシード姿のキリンが主役になりました。2026年10月時点で確認できる最新の新CM発表は、2025年のAIダンス篇です。
まとめ:財津一郎の功績とタケモトピアノのこれから
財津一郎さんとタケモトピアノの関係は、20年以上にわたるCM出演というだけでは語り尽くせません。
1997年に始まった企業CMは、2000年の全国展開を経て、2001年の『探偵!ナイトスクープ』での紹介によって全国的な話題となりました。
その後も財津さんの歌声と独特の演技は親しまれ、2023年に契約が終了するまで長く企業の顔を務めました。
財津さんの死去は同年10月14日。CMの放送終了と契約満了は、それより前に決まっていた出来事です。
2024年にはAI篇、2025年にはAIダンス篇が登場し、キリンという新しいキャラクターがブランドを引き継ぎました。
【プロの結論】
この一連の変化から読み取れるのは、長寿CMの価値は出演者個人だけでなく、音楽、映像、キャッチフレーズ、そして視聴者との記憶の積み重ねによって形成されるということです。
タケモトピアノは財津さんの映像をそのまま使い続けるのではなく、長年親しまれた音楽とブランドの個性を残しながら、新しい広告表現へ移行しました。
2026年現在も、財津さんの残したCMの印象は企業のブランド資産として受け継がれています。
あの独特な歌声と表情は、単なる懐かしいテレビCMではなく、日本のテレビ広告史に残る印象的な文化の一つになったのです。