資生堂と椎名林檎のコラボ全史|2011年CMから2025年アルティミューンまで徹底解説

目次

資生堂と椎名林檎の関係は、2011年の「マキアージュ」CMから始まり、2016年のヘアケアブランド「マシェリ」、2024年のSHISEIDO「テクノサテン ジェル リップスティック」、そして2025年の「アルティミューン」との大型コラボレーションへと発展してきた。単なる広告出演や楽曲提供にとどまらず、音楽、映像、化粧品、ライブ、体験型イベントを横断する関係に成長している。

特に注目したいのが、2024年の楽曲「ちりぬるを」のミュージックビデオにSHISEIDOのリップが登場したことをきっかけに、2025年の「ストレス解放区」プロジェクトが実現した経緯だ。椎名林檎が書き下ろしたキャンペーンソング「実験中」と、そのミュージックビデオには、両者が共有する美意識が色濃く反映されている。2026年10月時点の最新状況も含め、歴代の施策とコラボが実現した理由を整理する。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • 2011年:椎名林檎が資生堂「マキアージュ」のCMモデルに起用され、東京事変の「女の子は誰でも」がCM楽曲に採用された。
  • 2016・2024年:マシェリへの楽曲提供を経て、SHISEIDOのリップが「ちりぬるを」「ほぼ水の泡」などのMVに登場した。
  • 2025年:アルティミューンとの「ストレス解放区」が始動。新曲「実験中」、MV、期間限定イベントを展開した。
  • 2026年:確認できる最新の大型コラボは2025年のアルティミューン企画。テクノサテン ジェル リップスティックは公式商品ページに掲載されている。

【結論】資生堂と椎名林檎のコラボはなぜ続いた?その理由は美意識の一致

資生堂椎名林檎

資生堂と椎名林檎のコラボレーションを理解するうえで重要なのは、両者の関係が一方的な広告起用ではないという点だ。

2011年のマキアージュでは、椎名林檎自身がCMモデルとして出演し、音楽でもブランドの世界観を表現した。2016年のマシェリでは、椎名林檎が書き下ろした楽曲をCMに提供。そして2024年以降は、本人が愛用するSHISEIDOのリップをミュージックビデオやライブ関連映像で紹介する展開へと進んだ。

2025年のアルティミューンとのコラボレーションでは、資生堂が椎名林檎を起用した理由を公式プレスリリースで説明している。

その中心にあるのが、椎名林檎の持つジャンルや既存のイメージにとらわれない表現姿勢と、年齢や性別などの枠を超えた美しさを提案するアルティミューンのブランドコンセプトだ。

つまり、両者の接点は単に知名度や話題性ではない。自分らしい美しさを肯定するという価値観が、長期的な関係を築く土台になっている。

資生堂が椎名林檎を選ぶメリット

資生堂椎名林檎

椎名林檎の表現には、クラシカルな美しさと現代的な感覚、繊細さと大胆さが共存している。作品ごとに異なる衣装、メイク、映像表現を取り入れながらも、本人ならではの存在感を失わない。

こうした特徴は、単に化粧品の使用感や色を説明する広告とは異なる訴求力を生み出す。商品を使うことで、どんな表情や世界観を表現できるのか。椎名林檎の音楽と映像は、そのイメージを視覚的・感覚的に伝えられる。

一方、椎名林檎側にも、普段から愛用している化粧品を自身の作品や活動の中で自然に紹介できる利点がある。2025年の大型企画に至るまでの経緯を見ると、こうした相互の信頼関係が重要な役割を果たしたことが分かる。

【検証資料 1】資生堂椎名林檎の当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)

【年表】2011年から2025年までの資生堂と椎名林檎の歴代コラボ

資生堂椎名林檎

資生堂と椎名林檎の関係を時系列で見ると、2011年、2016年、2024年、2025年という4つの大きな転換点がある。

それぞれの企画では、椎名林檎の関わり方が異なる。CM出演、楽曲提供、商品使用、ライブとの連動、オリジナルキャンペーンと、段階的に協業の幅が広がっている。

時期 ブランド・企画 椎名林檎との関係 主な内容
2011年2月 マキアージュ CMモデル・楽曲 「女の子は誰でも」関連楽曲を起用
2016年3月 マシェリ 楽曲提供 新曲「MA CHÉRIE」を書き下ろし
2023年5月 テクノサテン ジェル リップスティック 商品との接点 SHISEIDOのリップ商品が発売
2024年5月 「ちりぬるを」「ほぼ水の泡」 MVで商品を使用 SHISEIDOのリップが映像に登場
2024年10月 (生)林檎博'24 ライブ連動企画 リップのコラボムービーを公開
2025年7月 アルティミューン 大型コラボレーション 「ストレス解放区」と「実験中」を展開
2026年10月 最新状況 過去企画の継続的な注目 2025年の大型企画が確認できる最新の協業

この年表で押さえておきたいのは、2023年に発売されたテクノサテン ジェル リップスティックと、2024年の椎名林檎との企画を混同しないことだ。

商品そのものは2023年発売であり、2024年に椎名林檎のミュージックビデオへの登場やライブ関連映像での紹介が実現した。2024年に椎名林檎との共同商品が新発売されたわけではない。

また、2011年と2016年の施策はテレビCMを中心とした広告展開だったのに対し、2024年以降はミュージックビデオやライブ映像を活用したコラボレーションへと変化している。

【2011年】マキアージュCMと東京事変「女の子は誰でも」の真相

資生堂と椎名林檎の関係を語るうえで、最初の大きな出来事となったのが2011年のマキアージュCMだ。

2011年1月20日、ユニバーサルミュージックは椎名林檎が資生堂のトータルメーキャップブランド「マキアージュ」の春の新製品CMモデルに起用されたことを発表した。

放送開始は2011年2月20日。化粧品CMへのモデル出演は、椎名林檎にとって初めての経験だった。

CMのテーマは「無垢-Virgin」

当時のCMでは「無垢-Virgin」というテーマが掲げられていた。椎名林檎の印象的な存在感と、透明感を意識した映像表現が組み合わされ、従来のアーティストとしてのイメージとは異なる魅力が打ち出された。

CMでは、椎名林檎自身が新曲を口ずさむ演出も取り入れられた。音楽とビジュアルの両方でブランドのイメージを表現する、印象的な広告企画だった。

東京事変の「女の子は誰でも」がCMソングに選ばれた理由

当初、CM楽曲として発表されたのは、東京事変の新曲「女の子は誰でも」だった。

この楽曲は椎名林檎が作詞・作曲を担当し、編曲には服部隆之が参加。女性への愛情や慈しみを表現した楽曲で、マキアージュの「無垢」というテーマとも親和性の高い作品だった。

ただし、実際に放送されたCMには重要な変更があった。

東京事変のシングル『空が鳴っている/女の子は誰でも』は、当初2011年2月23日に発売予定だったが、発売延期となった。その影響を受け、CMでは椎名林檎名義の「女の子は誰でも ~素顔編~」が使用されることになった。

2011年2月21日のCINRAの記事でも、この楽曲変更が報じられている。

そのため、2011年のマキアージュCMを正確に説明するなら、東京事変の「女の子は誰でも」が企画段階でCMタイアップ曲として発表され、実際のCMでは椎名林檎名義の「女の子は誰でも ~素顔編~」に変更された、という整理が適切だ。

マキアージュ企画が残したもの

この企画の特徴は、椎名林檎を単なるCM出演者として扱わなかった点にある。

本人の音楽を広告の中心に据え、商品イメージとアーティストの世界観を一体化させた。音楽作品の認知と化粧品ブランドの印象形成を同時に進める、音楽タイアップ型広告の好例だった。

その後のマシェリやSHISEIDOとの関係を考えると、2011年は両者の協業の出発点として重要な位置を占めている。

【検証資料 2】資生堂椎名林檎の活動歴およびメディア掲載記録(出典:Yahoo!ニュース)

【2016・2024年】マシェリからテクノサテンへ、関係が再接続

2011年のマキアージュから約5年後、椎名林檎は資生堂のヘアケアブランド「マシェリ」に楽曲を提供した。

さらに2024年にはSHISEIDOのメイクアップ商品が本人のミュージックビデオに登場。ここで、資生堂と椎名林檎の関係は新しい段階へと進んでいく。

2016年:マシェリのCMソング「MA CHÉRIE」

2016年3月25日、資生堂のヘアケアブランド「マシェリ」の新CMが全国放送を開始した。

CMに使用されたのは、椎名林檎が作詞・作曲・編曲を手掛けた書き下ろし楽曲「MA CHÉRIE」。フランス語で「私の愛しい人」を意味する言葉が繰り返される、印象的な作品だ。

楽曲について、椎名林檎は鏡の前で口ずさめば、どんな女の子でもきれいになれる魔法の旋律という趣旨のコメントを寄せている。

ここで注意したいのは、マシェリのCMに出演していたのは椎名林檎ではなく、女優の小松菜奈だという点だ。

つまり、2016年のマシェリ企画では、椎名林檎はCM出演者ではなく、音楽を担当するアーティストとして参加していた。

髪の美しさを真珠の輝きに見立てた「濃密パールヘアエステ」篇と、柔らかく印象的な楽曲が組み合わされ、ブランドの世界観を音楽面から支えた。

2024年:テクノサテン ジェル リップスティックがMVに登場

2024年5月29日、椎名林檎は5年ぶりのオリジナルアルバム『放生会』をリリースした。

このアルバムに収録された「ちりぬるを」と「ほぼ水の泡」のミュージックビデオに登場したのが、SHISEIDOの「テクノサテン ジェル リップスティック」だ。

資生堂は2024年6月7日に公式プレスリリースを発表し、両作品に同商品が登場することを紹介した。さらに、椎名林檎自身もこのリップの愛用者の一人であると説明している。

「ちりぬるを」で使用されたカラーは407

「ちりぬるを」のミュージックビデオで椎名林檎がメイクに使用したカラーは、407 Pulsar Pinkだ。

青みを感じさせるクールピンクで、目元とのバランスを取りながら、唇にアクセントを加えられる色として紹介されている。

また、同作品のパウダールームには417 Soundwaveのカラーも登場する。

一方、「ほぼ水の泡」では421 Live Wireが椎名林檎のメイク使用色として紹介された。

2024年10月:(生)林檎博'24とのコラボムービー

2024年10月7日には、SHISEIDOが椎名林檎のアリーナツアー「(生)林檎博'24-景気の回復-」を応援するコラボムービーを公開した。

映像では、ライブの舞台へ向かう椎名林檎と、ブランドを象徴する鮮やかな赤のリップが印象的に描かれている。映像ディレクターは児玉裕一。使用色は417 Soundwaveだった。

2011年のCMでは商品を紹介する広告モデルだった椎名林檎が、2024年には自身の音楽活動やライブと連動して愛用商品を紹介する立場になった。この変化は、後のアルティミューン企画につながる重要な伏線となった。

テクノサテン ジェル リップスティックの商品特徴

テクノサテン ジェル リップスティックは2023年5月に発売されたSHISEIDOの口紅で、2026年10月時点の公式商品ページでは全20色、3.3g、税込4,400円で掲載されている。

特徴は、オイルをジェル化した弾力のあるテクスチャーと、SHISEIDO独自のストレッチフレックステクノロジーだ。

唇の凹凸にフィットし、高発色と保湿感を両立する設計になっている。公式の商品説明では、美しい仕上がりが8時間持続することや、スキンケア成分68%配合も紹介されている。

椎名林檎が使用したカラーを参考にするなら、次の3色が分かりやすい。

  • 407 Pulsar Pink:青みのあるクールピンク。華やかさやモード感を出したい人向け。
  • 417 Soundwave:鮮やかなポピー系レッド。印象的な口元を演出したい人向け。
  • 421 Live Wire:ホットピンク系。明るく存在感のあるカラーを楽しみたい人向け。

なお、2024年の発表時の商品価格は税込3,960円だったが、現在の公式商品ページでは税込4,400円となっている。購入時は最新の販売価格と在庫を確認したい。

【2025年】アルティミューン「ストレス解放区」と楽曲「実験中」の全貌

資生堂と椎名林檎のコラボレーションが最も大きな規模で展開されたのが、2025年7月9日に始動したSHISEIDOアルティミューンとのプロジェクト「ストレス解放区」だ。

これまでのCMや商品紹介とは異なり、オリジナル楽曲、ミュージックビデオ、期間限定イベント、百貨店でのポップアップショップを組み合わせた総合的なキャンペーンとなった。

アルティミューンとはどんな美容液なのか

アルティミューンは、資生堂のグローバルブランド「SHISEIDO」を象徴する美容液だ。

2014年にブランドを代表するアイテムとして登場し、肌本来の美しさを引き出すという価値を掲げてきた。

2025年3月には、新たな「アルティミューン パワライジング セラム」へと進化。しなやかで揺るがない美しさを目指す商品として、新しいブランド展開が始まった。

今回のキャンペーンは、この新生アルティミューンの価値を広く伝えるための施策だった。

なぜ椎名林檎が起用されたのか

資生堂の2025年7月9日付公式発表によると、椎名林檎の起用理由は、ジャンルやイメージにとらわれない独自のスタイルと、自分自身を解放した生き方にある。

資生堂は、椎名林檎の表現姿勢と、年齢や性別などにとらわれず、それぞれの美しさを楽しむアルティミューンの考え方に共通点を見いだした。

キャンペーンの中心テーマは「ストレス解放区」。美容を外見だけの問題として扱うのではなく、精神的な自由や、自分らしく過ごすことまで含めて提案する企画だった。

「実験中」は椎名林檎の書き下ろし楽曲

このキャンペーンのために制作されたのが、椎名林檎の新曲「実験中」だ。

2025年7月9日にデジタル配信が開始され、同日にはミュージックビデオも公開された。さらに8月6日には「白日のもと」との両A面シングルとしてCD発売されている。

作詞・作曲・編曲は椎名林檎。演奏には次のメンバーが参加した。

  • ドラム:石若駿
  • ウッドベース:鳥越啓介
  • ギター・エレクトリックシタール:名越由貴夫
  • レコーディング・ミキシングエンジニア:井上雨迩

ミュージックビデオの映像ディレクターは児玉裕一。椎名林檎の作品を数多く手掛けてきた映像クリエイターが参加し、キャンペーンの世界観を映像として構築した。

「実験中」に込められた意味とは?

「実験中」というタイトルには、人間が自分の身体や生き方を通じて、よりよく生きる方法を探していくという発想が反映されている。

資生堂の公式発表に掲載されたインタビューで、椎名林檎は、偉人たちが自分の身体を実験台のように使いながら、よりよく生きる方法を模索してきたのではないか、という予測をもとに、以前から楽曲にしてみたかったと説明している。

この発想は、単に美容液の機能を宣伝するための楽曲とは異なる。

人間が自分自身を知り、試し、変化しながら生きていくこと。その過程そのものを肯定するメッセージが、アルティミューンの掲げるストレスフリーな美しさと重なっている。

六本木ヒルズで開催された「ストレス解放区」

楽曲と映像だけで終わらなかったことも、このキャンペーンの特徴だ。

2025年7月10日から18日まで、東京・六本木ヒルズのヒルズ カフェ/スペースで、期間限定イベント「ストレス解放区」が開催された。

会場には「実験中」のミュージックビデオをイメージした赤を基調とする空間が設けられ、来場者がキャンペーンの世界観を体感できるようになっていた。

主なコンテンツは次のとおり。

  • ミュージックビデオの世界観を再現したフォトスポット
  • ゲーム感覚で楽しめるパンチングマシーン
  • 猫をモチーフにした重ね捺しスタンプラリー
  • おみくじ
  • アルティミューンのタッチアップ体験

入場無料で、事前予約も不要という形式だった。

全国5店舗で限定ポーチ付きキットも展開

さらに、2025年7月から8月にかけて、全国の百貨店やSHISEIDO取扱店でも期間限定のポップアップショップが展開された。

目玉となったのは、椎名林檎がデザイン監修し、児玉裕一がデザインを担当した限定ポーチ付きキットだ。ポーチは店舗によって異なるデザインで展開された。

主な開催店舗は以下の5会場だった。

  • 阪急うめだ本店:2025年7月9日~15日
  • ジェイアール名古屋タカシマヤ:2025年7月9日~15日
  • 伊勢丹新宿店:2025年7月16日~22日
  • @cosme NAGOYA:2025年7月30日~8月5日
  • 横浜髙島屋:2025年8月6日~12日

六本木のイベント会場では商品の販売は行われず、限定キットは各ポップアップショップで販売された。

このように「ストレス解放区」は、楽曲を聴く、映像を見る、商品を試す、イベントに参加するという複数の接点を組み合わせたプロジェクトだった。

【検証資料 3】資生堂椎名林檎に関する近況・インタビュー報道記録(出典:Yahoo!ニュース)

【コラボの背景を分析】資生堂と椎名林檎の関係が2025年に大きく進化した理由

2025年のアルティミューン企画は、突然生まれた大型タイアップではない。実際には、2024年のリップ企画から続く関係が発展したものだった。

きっかけは「ちりぬるを」のミュージックビデオ

2025年9月4日公開の広告専門メディアAdverTimesの取材記事では、資生堂側の担当者がコラボレーションの経緯を明らかにしている。

その説明によると、直接のきっかけは2024年5月に発表された「ちりぬるを」のミュージックビデオだった。

同作品でSHISEIDOのテクノサテン ジェル リップスティックを使用したいという申し出が、椎名林檎側からあったことが始まりだったという。

その後も関係が続き、2024年10月から12月にかけては、椎名林檎のライブツアーへのサポートや、動画企画を通じて商品を紹介するプロジェクトが実施された。

こうした継続的な接点を経て、資生堂側からアルティミューンとの大型コラボレーションを提案する流れになった。

当初は楽曲とMVだけの予定だった

AdverTimesの取材で特に興味深いのは、2025年の企画が最初から現在のような大規模展開を予定していたわけではないという点だ。

当初の構想は、椎名林檎による楽曲制作とミュージックビデオの制作が中心だった。

しかし、打ち合わせを重ねる中で、作品の世界観を実際に体験できるイベントや、全国のポップアップショップで展開するグッズ企画も追加されていった。

つまり、音楽タイアップから体験型のブランドキャンペーンへと発展したのである。

広告として見たときの3つの強み

この一連の施策には、ブランドマーケティングの視点から見ても3つの特徴がある。

1つ目は、商品の実使用を起点にしていること。

椎名林檎が普段からSHISEIDOの商品を愛用していたことが、2024年のリップ企画につながった。企業が有名人に商品を持たせるだけの広告ではなく、実際の使用経験から始まっている点が特徴的だ。

2つ目は、アーティストの創作活動とブランドメッセージが一致していること。

「実験中」は単なる商品紹介のための楽曲ではなく、椎名林檎自身の創作テーマとブランドの考え方が交差した作品になっている。

3つ目は、オンラインとリアルを連動させていること。

ミュージックビデオで興味を持った人が、イベントで世界観を体験し、店頭で商品を試すという流れが設計されていた。音楽ファンと美容商品の購入検討者をつなぐ仕組みとしても興味深い。

よくある誤解と事実の違い

資生堂と椎名林檎の歴代企画には、CM出演、楽曲提供、MVへの商品登場、ライブ連動企画など複数の形式があるため、混同されやすい。

  • 誤解:2016年のマシェリCMに椎名林檎本人が出演した。
    事実:CM出演者は小松菜奈で、椎名林檎は楽曲「MA CHÉRIE」を担当した。
  • 誤解:「女の子は誰でも」は最初から椎名林檎のソロ曲としてCMに使われた。
    事実:当初は東京事変の楽曲として発表され、実際のCMでは椎名林檎名義の「素顔編」に変更された。
  • 誤解:テクノサテン ジェル リップスティックは2024年に椎名林檎との共同開発で発売された。
    事実:商品は2023年5月発売。2024年にMVへの登場などのコラボレーションが展開された。
  • 誤解:「実験中」はアルティミューンの既存CMソングを椎名林檎が歌ったもの。
    事実:2025年のキャンペーンのために書き下ろされた新曲である。

こうした違いを整理すると、資生堂と椎名林檎の関係は、広告出演から楽曲提供、商品との自然な接点を経て、共同で世界観をつくる段階へと発展したことが分かる。

【プロの結論】このコラボが成功した本質

今回の協業から読み取れるのは、企業とアーティストのタイアップにおいて、単なる知名度の掛け合わせよりも、双方が共有できる価値観と実際の接点が重要だということだ。

2011年のマキアージュでは、椎名林檎の音楽と広告表現が結び付いた。2024年には愛用していたリップが作品に登場し、2025年にはアルティミューンの考え方と本人の創作テーマが交差した。

一つひとつの企画が独立しているのではなく、過去の接点が次の協業につながっている。この継続性こそ、資生堂と椎名林檎のコラボを理解する最大のポイントだ。

【2026年最新】資生堂と椎名林檎のコラボは現在も続いている?

2026年10月30日時点で、公開されている公式情報から確認できる最新の大型共同キャンペーンは、2025年のSHISEIDOアルティミューン「ストレス解放区」だ。

六本木ヒルズでのイベントは2025年7月18日に終了し、全国のポップアップショップも同年8月までに開催期間を終えている。

2026年の新たな「ストレス解放区」開催や、椎名林檎との新規大型キャンペーンについては、確認できる公式発表は見当たらない。

2026年もチェックできるテクノサテン ジェル リップスティック

一方、SHISEIDOのテクノサテン ジェル リップスティックは、2026年10月時点でも公式商品ページに掲載されている。

商品情報は次のとおり。

  • 商品名:SHISEIDO テクノサテン ジェル リップスティック
  • 種類:口紅
  • 内容量:3.3g
  • カラー:全20色
  • 公式掲載価格:税込4,400円
  • 主な特徴:ストレッチフレックステクノロジー、高発色、保湿感

2024年に椎名林檎が使用した407、417、421などのカラーは、彼女のメイクを参考にしたい人にとっても注目したい色だ。

ただし、公式商品ページに商品が掲載されていることと、2026年に椎名林檎との新しい広告企画が実施されていることは別の話である。

2026年に注目すべきポイント

今後の動向を確認するなら、資生堂の公式ニュースリリース、SHISEIDOのブランド情報、椎名林檎の公式特設サイトの3つが重要な情報源となる。

特に、過去の企画が再展開される場合は、新しい楽曲の制作、商品との共同企画、限定ポップアップなど、どの形式で発表されるかが注目点になる。

2025年の「実験中」は単独の音楽作品としてもリリースされているため、キャンペーン期間が終了しても作品そのものの価値は残る。広告企画と音楽作品を分けて考えることが、2026年時点での正確な理解につながる。

【資生堂と椎名林檎のコラボ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:資生堂と椎名林檎がコラボした理由は何ですか?
A1:椎名林檎の独自の表現スタイルや、自分らしく生きる姿勢が、資生堂の「年齢や性別にとらわれない美しさ」というアルティミューンのコンセプトと一致したためです。さらに、2024年の「ちりぬるを」のMVでSHISEIDOのリップを使用したことが、2025年の大型企画につながりました。

Q2:椎名林檎が資生堂マキアージュのCMに出演したのは何年ですか?
A2:2011年です。2月20日からCMが放送されました。当初は東京事変の「女の子は誰でも」がCM曲として発表されましたが、実際の放送では椎名林檎名義の「女の子は誰でも ~素顔編~」が使用されました。

Q3:2016年のマシェリCMで椎名林檎が歌った曲は何ですか?
A3:「MA CHÉRIE」です。椎名林檎が作詞・作曲・編曲を担当した書き下ろし楽曲で、CMには小松菜奈が出演しました。

Q4:「ちりぬるを」で椎名林檎が使用した資生堂のリップは何色ですか?
A4:SHISEIDOのテクノサテン ジェル リップスティック「407 Pulsar Pink」です。「ほぼ水の泡」では「421 Live Wire」が使用されました。

Q5:「実験中」は資生堂アルティミューンのCMソングですか?
A5:正確には、2025年のアルティミューンとのコラボレーションキャンペーン「ストレス解放区」のために書き下ろされたキャンペーンソングです。2025年7月9日に配信され、同日にミュージックビデオも公開されました。

Q6:2026年も資生堂と椎名林檎のコラボイベントは開催されていますか?
A6:2025年の「ストレス解放区」は期間限定企画として終了しています。2026年10月30日時点で、新たな大型コラボイベントの公式発表は確認できません。

まとめ:資生堂と椎名林檎のコラボは広告から共創へ

資生堂と椎名林檎の関係は、2011年のマキアージュCMから始まり、2016年のマシェリ、2024年のSHISEIDOリップ企画、2025年のアルティミューン「ストレス解放区」へと広がってきた。

その歴史を振り返ると、単に有名アーティストを広告に起用するという関係から、本人の愛用品や音楽活動を起点に、ブランドとアーティストが一緒に世界観をつくる関係へ変化したことが分かる。

特に重要なのは、2024年の「ちりぬるを」におけるリップの使用が、2025年の大型企画につながったという具体的な経緯だ。資生堂側の担当者も、この接点がアルティミューンとのコラボレーションのきっかけだったと説明している。

2026年10月時点では、2025年の「ストレス解放区」が確認できる最新の大型協業となっている。今後、新しいキャンペーンが発表されるかは未定だが、これまでの経緯を踏まえると、両者の関係を理解する鍵は、商品、音楽、映像を横断する独自のクリエイティブにある。

マキアージュの「女の子は誰でも」、マシェリの「MA CHÉRIE」、そしてアルティミューンの「実験中」。それぞれの時代に異なる形で生まれた作品は、資生堂と椎名林檎が共有してきた美意識を伝える重要な記録となっている。

主な事実確認資料: 資生堂・ユニバーサルミュージックの公式発表、AdverTimesの2025年9月4日付企画担当者取材、SHISEIDO公式商品情報。