【主題歌と感想・評判】SEKAI NO OWARI「琥珀」が物語に与える意味
配信リリース:2025年3月12日
映画公開:2025年3月20日
映画『少年と犬』の主題歌は、SEKAI NO OWARIの「琥珀」だ。
2025年1月24日に映画制作関連の発表で主題歌が解禁され、同年3月12日に楽曲が配信リリースされた。楽曲は映画のために書き下ろされたもので、作品の世界観と結びついた音楽として制作されている。
「琥珀」が映画に合っている理由

作品の中心にあるのは、時間が経過しても消えない記憶と、人間と犬の間に生まれるつながりだ。
琥珀という言葉には、長い時間を経ても内部に記憶を閉じ込めているようなイメージがある。
多聞の旅も同じだ。震災から何年が経過しても、少年と過ごした記憶は失われない。
映画の最後まで観ると、タイトルの「少年と犬」が単なる出会いの物語ではなく、長い時間を超えた再会の物語であることが理解できる。
主題歌は、その時間の流れや別れの余韻を受け止める役割を果たしている。
『少年と犬』の感想・評判は?

映画の評価は、感動的な題材への共感と、原作からの脚色に対する評価に分かれる。
映画.comのユーザー評価は、2026年10月に確認できる掲載情報で5点満点中3.2点、210件の評価となっている。極端に高い評価に集中しているわけではなく、作品の演出や展開についてさまざまな受け止め方がある。
主な評価の論点は次のとおりだ。
肯定的な評価
- 多聞役の犬・さくらの自然な演技が印象に残る。
- 高橋文哉と西野七瀬の演技が物語を支えている。
- 震災によって傷ついた人々を犬がつないでいく設定に感情移入できる。
- 自然の中を走る多聞の映像が美しい。
- 人間と動物の関係を改めて考えるきっかけになる。
否定的・慎重な評価
- 原作の6編が十分に描かれていないと感じる。
- 和正と美羽の関係を強調したことで、原作とは異なる作品に見える。
- 和正の死後の幻想的な演出に違和感を覚える。
- 犬を中心とした物語を期待すると、人間側の犯罪や重い事情が予想以上に多い。
特に原作ファンの間では、映画独自の脚色をどう受け止めるかが評価を分けるポイントになっている。
【プロの結論】『少年と犬』をより深く理解するための3つの視点

『少年と犬』の本質は、犬が人間を救うという単純な感動物語にとどまらない。
作品を読み解くうえで重要なのは、次の3点だ。
1. 多聞は人間の善悪を超えて寄り添う存在
物語に登場する人々は、必ずしも立派な人間ではない。
家族のために犯罪に関わる青年、他人を傷つけてしまった女性、孤独を抱えた老人。それぞれが過去の過ちや生活の困難を背負っている。
多聞は、そうした人間を評価したり裁いたりしない。
ただそばにいる。
この犬の存在によって、人間が自分自身を見つめ直す機会が生まれる。
そこに馳星周の描いた物語の大きな特徴がある。
2. 震災は単なる背景ではなく、物語全体を動かす要素
東日本大震災と熊本地震は、作品における重要な出来事だ。
2011年の東日本大震災によって人々の生活が失われ、2016年の熊本地震によって再び大切なものが奪われる。
この二つの震災を結びつけているのが多聞だ。
震災の被害は人間だけに及ぶものではない。ペットも飼い主と離れ、生活環境を失い、行き場をなくすことがある。
作品は、そうした災害と動物の問題にも目を向けている。
3. 原作と映画は別々の楽しみ方ができる
原作と映画のどちらが優れているかという比較だけでは、作品の魅力を十分に捉えられない。
原作は、人間の弱さや人生の無常を6つの物語で積み重ねていく。
映画は、和正と美羽という人物を通して、多聞がつなぐ人間関係を視覚的に描いている。
そのため、どちらか一方だけで作品を理解するより、両方に触れることで物語の異なる側面が見えてくる。
どんな人におすすめ?原作と映画の選び方
| 読者・視聴者のタイプ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 直木賞受賞作を読みたい | 原作小説 | 全6編の構成を楽しめる |
| 多聞の旅を詳しく知りたい | 原作小説 | 各人物との交流を追える |
| 高橋文哉・西野七瀬の演技を見たい | 映画 | 二人の人間ドラマが中心 |
| 犬の表情や映像美を楽しみたい | 映画 | 多聞役のさくらの演技が見どころ |
| 原作との違いを比較したい | 両方 | 物語の再構成を確認できる |
| 明るい動物映画だけを見たい | 慎重に検討 | 犯罪、死別、震災など重い題材がある |
個人的なおすすめは、原作を先に読み、その後に映画を観る順番だ。
原作で多聞が出会う人物たちの背景を理解しておくと、映画で省略・再構成されたエピソードにも意味を見つけやすくなる。
【少年と犬】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『少年と犬』の原作は何編から構成されていますか?
A1:馳星周による全6編の連作短編集です。「男と犬」「泥棒と犬」「夫婦と犬」「娼婦と犬」「老人と犬」「少年と犬」で構成されています。
Q2:多聞は最後に死んでしまうのですか?
A2:はい。原作では熊本で光と再会した後、2016年の熊本地震で光をかばい、命を落とします。映画版でも少年を守る多聞の運命が描かれます。
Q3:多聞が少年に会いに行った理由は何ですか?
A3:震災前に釜石で出会った少年・光と再び遊ぶという約束を果たすためです。二人は以前から親しい関係にあり、震災によって離れ離れになっていました。
Q4:映画『少年と犬』の公開日はいつですか?
A4:2025年3月20日です。高橋文哉と西野七瀬が主演し、瀬々敬久が監督、林民夫が脚本を担当しました。
Q5:映画『少年と犬』の主題歌は何ですか?
A5:SEKAI NO OWARIの「琥珀」です。2025年3月12日に配信リリースされました。
Q6:原作と映画は同じ結末ですか?
A6:多聞が少年・光と再会し、少年を守るという物語の大きな到達点は共通しています。ただし、和正と美羽の関係や、和正の死後の演出など、映画には独自の展開が加えられています。
まとめ:『少年と犬』は何を伝える物語なのか
『少年と犬』は、馳星周が第163回直木賞を受賞した全6編の連作短編集であり、2025年には瀬々敬久監督によって映画化された作品だ。
震災で飼い主を失った犬・多聞は、東北から九州まで約3,000キロを旅する。その目的は、かつて出会った少年・光との約束を果たすことだった。
旅の途中で出会う和正、美羽、弥一をはじめとする人々は、それぞれ異なる傷を抱えている。多聞との出会いによって、彼らの人生にも変化が訪れる。
原作は人間の弱さや人生の無常を描く連作小説、映画は和正と美羽の関係を加えた人間ドラマとして楽しめる。
2026年に初めて作品に触れる人にも、原作を読んだ後に映画を観る人にも、共通して心に残るのは、多聞が最後まで少年との約束を忘れなかったという事実だ。
人間は多くのものを失い、時間とともに記憶も薄れていく。それでも、誰かを大切に思う気持ちは残り続ける。
『少年と犬』が描いたのは、そんな記憶と絆の物語なのである。